歳末風景2015年12月27日 17時05分16秒

今日は空気がきりっとした、明るい冬晴れの一日でした。
青空が美しく、風はあまりないのに、雲はひゅんひゅんと飛ぶように流れ、こんな日はきっと凧がよく揚がるだろうと思いました。

気持ちのいい日だったので、地下鉄に乗って用足しに出かけた後、静かな町を縫うようにして、ぶらぶらと歩いて家まで帰ってきました。

あちこちの庭先では、みかんの木が黄金色の実をつけてつやつやと輝き、
枝おろしの庭師は、家の主と朗らかに言葉を交わし、
公園では、陽だまりで子供たちがドッジボールをしていました。

かさこそと道端で音がしたので、何か紙屑でも飛んできたのかと思ったら、それは大きな朴の木か何かの葉っぱで、改めて目を凝らしても、その通りには人為的な雑物の影は何も見えないのでした。

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平和というのは実にありがたいものです。

この世に悲惨や不正義がはびこっているのは紛れもない事実であり、人間は過去も現在も、それに対して絶えず戦いを挑んでいるようなものですが、それに立ち向かうときの出発点は、やはり平穏で何気ない日常であってほしいです。そして、それこそが最強にして唯一の武器ではないか…ということを、丸いみかんと子供たちの歓声に思いました。

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あんまり理科趣味とは関係ないことを書いたので、おまけとして「平和な生物」を探してみました。

パパッと検索してみると、学名に「平和(patriciae)」を含む種類はいろいろいて、カエル(Eleutherodactylus patriciae)や、巻貝(Drillia patriciae)や、小魚(Pachypanchax patriciae)や、サボテン(Sulcorebutia patriciae)や、パイナップルの仲間(Aechmea patriciae)なんかが、「平和な生物」らしいです。

こうして見ると、あまり派手な連中はおらず、世界の片隅でいかにもひっそりと生きている仲間が多いようです。結句、平和とはそうしたものでしょう。