さらに卵、玉子、たまご2015年12月08日 06時52分41秒

卵はとどまるところを知らず。
でも、そろそろ終息します。

今日は、いずれも以前チラッと登場したものですが、昔は画像が小さかったり、あまりしっかりデータを書かなかったので、卵つながりで載せておきます。

(画像再掲)

まず最初は、9年前に登場したベテランです。


卵のレプリカをズラッと箱に並べたものですが、所はイギリスからアメリカに替わり、鳥の種類も新大陸固有のものが多く登場しています。


改めて撮影した、これが全体像です。
箱の大きさは31×41cm、ズラッと並んだ卵は全部で41種類。


レプリカ標本は、すべて縦半分に断ち割った状態でボードに貼付されています。


何となく「小さな博物館」という風情があって、このガラス越しに覗く感覚が、個人的には高評価なのですが、ちょっと他の人には伝わりにくいかもしれません。

   ★

もう一品は再びイギリスに戻って、卵の本です。


 W. J. Gordon(著)
 『Eggs of the Native Birds of Britain and List of British Birds.』
  (英国原産鳥類の卵と英国鳥類目録)
 Simpkin, Marshall, Hamilton, Kent & Co. (London), c.1912
 12mo, 64pp.

この本は、以下の記事の背景に写り込んでいましたが、本として紹介するのは初めてです。


(タイトルページ)

この本の版元は、当時「Our Country’s Animals(我が国の動物)」とか、「Our Country’s Flowers(我が国の花)」とか、「我が国シリーズ」というのを出していて、その1冊に「Our Country’s Birds(我が国の鳥類)」というのが入っていました。そして、この卵の本は、その補遺として刊行されたものです。

(巻末の鳥類リスト)

したがって、個々の鳥の説明はほとんどなくて、それは対応する本編(『我が国の鳥類』)を見よ、となっています。


鳥類の卵の本はたくさんあるので、これが最良の一冊というわけでもないのですが、薄手の本のわりに図がたっぷり入っているし(全16枚の多色石版の図版に、200種以上の卵が描かれています)、お値段もリーズナブルなので、卵入門にはいいかもしれません。

それと、前書きを読んで驚いたのは、ここに入っている図版は、全部実物大の卵であるばかりでなく、すべて著者ゴードンの個人コレクションであり、しかも彼の収集用の抽斗を写真に撮って、それをそのまま絵に起こしてあることです。つまり、読者は本書を手にすることで、ゴードンの部屋に招かれて、そのコレクションを親しく見せてもらっている気分を味わえるわけです。


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というわけで、「卵百珍」的企画となりましたが、何と言っても卵は「創世」と「復活」のシンボルですから、混迷せる世を前に、卵に思いを凝らすことは、大いに意味のあることと思います。