『バリットの天体アルバム』(2)…渦巻き星雲2006年06月28日 23時04分43秒

「渦巻き星雲」2態。
いずれもカリフォルニアのウィルソン山天文台で撮影された写真。

右は1910年に撮られた「かみのけ座」のM64。左は細かいデータが欠けていますが、同じくかみのけ座中の星雲で、現在ではNGC4565と呼ばれる天体です。

今では、CCDカメラを使ってアマチュアでも同様の写真を撮れるわけですが、この写真はその歴史性において圧倒的な存在感を示しています。

ここで注意すべきことは、この写真が撮影された当時は、島宇宙理論―渦巻き星雲ははるか遠方にあって、私たちの銀河系と同様の存在だとする説―はまだ論争の渦中にあり、この写真集が出た頃にようやく最終的な決着がついたということです。

こうした写真は一般の人ばかりでなく、天文学者をも眩惑し、大宇宙の構造を知ろうという狂おしい情熱を掻き立てていたのだ…そう思って見直すと、今でこそ平凡ともいえるこれらの写真の見え方も、随分違ってくるように思います。

現在と過去、二つの目で見るとき、そこにいわば「時間立体視」が生じるような気がするのです。