明治の天文台訪問…旧東京商船学校第二観測台(2)2008年08月18日 08時53分05秒


建物正面。(ちょっとカメラがブレました。)
入口のデザインに、ゴシック・リヴァイバルの影響を感じます。
全体に「ちょこなん」とした感じがいいですね。

明治の天文台訪問…旧東京商船学校第二観測台(3)2008年08月18日 08時54分10秒


第一観測台と第二観測台は、こんなふうにすぐ隣接しています。
ここにパラソルを並べて、緑陰のオープンカフェ…なんて素敵じゃないでしょうか。

フィンランドの遠い夏…ヴァルティオブオリ天文台2008年08月20日 06時42分46秒


最近買った絵葉書。

フィンランドのヴァルティオブオリ(?Vartiovuori)天文台。
古都・トゥルク(ヘルシンキの西150キロ、スウェーデン対岸の街)にある古い天文台。後にボン掃天星表をまとめた、フリードリッヒ・ヴィルヘルム・アルゲランダー(1799-1875、http://tinyurl.com/5cryy8)が、若いころ台長を務めたことで知られます。新古典様式の本館は、ドイツ人建築家、カール・ルードヴィッヒ・エンゲルスの作で、1819年竣工。てっぺんの天球儀のモニュメントが目を引きますが、これもやっぱりギリシャ・ローマ風の意匠なんでしょうか。彼は同じ様式で、ヘルシンキ大学天文台や、ロシアのプルコヴォ天文台も手がけています。

この歴史ある建物は、1827年にトゥルクを焼き尽くした大火にも無事で、今も健在です。ただし、天文台の設備と機能は1834年にはヘルシンキへと移り、その後は長いこと航海学校として使用され、現在は博物館になっている由。

上の写真は1920年代頃のホワイトボーダータイプの絵葉書。既に天文台の役割を終えて久しいはずですが、キャプションには依然「天文台 Observatoriet」と書かれています。遠い日の天文台の記憶をとどめた、遠い日の写真。

フィンランドの季節感はよく分かりませんが、空の気配、木々の濃い緑は、日本ならばちょうど晩夏に当たる時季でしょうか。地面に落ちる影も黒々としています。


■参考 英語版ウィキペディア
 http://en.wikipedia.org/wiki/Vartiovuori_Observatory

存在する者2008年08月21日 06時35分07秒


全然天文とは関係ない話ですが、昨日の絵葉書。
スキャンする時によく見たら、「あ、子どもがいる!」と初めて気がついてビックリ。
偶然でしょうか、演出でしょうか。
可愛らしくもあり、ちょっと妙な感じもします。ありうべからざる物があるような。

  ○ 

ところで、先週、湘南まで観光に出かけたんですが。

鎌倉から江ノ電に乗り、あれはどの辺だったでしょう、長谷を過ぎて、海岸線が近づいて来た頃だと思います。停車場に滑り込む間際、車窓から、白い和服を着た上品な女性がホームに立っているのが見えて、そのゆかしい風情に思わず目を見張ったんですが。一瞬後に電車が停まった時には、そんな人は影も形もなく、ホームには午後の日差しがカンカンと照りつけるばかりでした。

まあ目の迷いには違いないんでしょうが(何せとても暑い日でしたから)、ただ、今にして思えば、その日は丁度8月15日で、そんな掛かり合いもあるのかどうか。一緒にいた家族には黙っていましたが、今もって一寸不思議な気がしています。

  ○

何だか岡本綺堂の下手なパスティーシュみたいですが、この話、特にオチはありません。ある夏の日の小さなエピソード。

  ○

さて、明日は旅の落穂拾いとして、国立科学博物館再訪メモです。

国立科学博物館再訪(1)2008年08月22日 20時38分17秒

(↑国立科学博物館日本館<昭和5年竣工>中央吹き抜け)


去年の11月、上野の科学博物館に行った記事を書きました(↓)が、また見学の機会がありました。
http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/11/24/2456087

前はボーッとして写真を撮り漏らしたんですが、今回は時間に余裕もあったので、ゆっくり写真を撮ることができました。以下は、日本館で心に響いたモノたちです。

じっくり見るにつけても、やはり科博は侮れんな、という印象を強く持ちました。

国立科学博物館再訪(2)2008年08月22日 20時40分25秒

(↑思いっきり手ぶれしました。)

日本館3階「日本列島の素顔」のとっつきにある展示。

動物・植物・鉱物の標本をディスプレイしたキューブを縦横にたくさん積み重ねた、それ自体ミニチュアの博物館のような一角。昔の記事でもいたく感心していたのがこれです。

新しいのに妙な懐かしさも同時に感じます。これぞ現代的な装いをこらした「新・cabinet of curiosities」なのかもしれません。

国立科学博物館再訪(3)2008年08月22日 20時42分29秒

日本館1階。延岡藩主・内藤家伝来の漆塗り天球儀(江戸時代後期)。

漆黒の空に金銀の星が散り、その中央をゆったりと金泥を掃いた天の川が流れています。西洋の天球儀のように華やかな星座絵はありませんが、いかにも日本的な美意識を感じさせる天界の光景。

天の川の面には、その名も「天船」という星座が浮かんでいます。西洋星座でいうペルセウス座(の一部)で、その右側、画面中央の「五車」というのが、カペラを含むぎょしゃ座の五角形に当たります。

(この項さらに続く)

国立科学博物館再訪(4)2008年08月23日 15時21分19秒

同じく日本館1階に、こんな珍品がさりげなく置かれていました。

このグニャグニャしたものは「地震動軌跡模型」。
明治20年に起きた地震の際の地面の動きを、地震計の記録を元に針金で再現したものだとか。

今なら即CGでしょうが、丹念な手仕事は好感度大です。この針金を凝視して、頭の中で揺れを再現すると、地震の様がいっそうよく分かるような気がします。台座や説明プレートも非常に凝っていて、明治時代の科学の香気をよく伝えています。

ちなみに、この斬新な模型を作った関谷清景(せきやせいけい、1854-1896)は、何と世界最初の(日本で最初の、ではありませんよ)地震学教授だそうです。下の略伝を見ても相当な傑物のようです。(記事中「石川県大垣市」とあるのは、「岐阜県大垣市」の誤記)

■「全国地図測量史跡」全文紹介/世界で最初の地震学教授関谷清景の墓
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~kaempfer/mapsuv200/shiseki/kinki/kk20.htm

処暑+1日2008年08月24日 19時49分54秒


科博ではまだ取り上げたいモノもあるんですが、ちょっと調べていることがあるので、少し寝かせておきます。

またそれとは別に、短期集中の仕事が入ったので、記事の方は2,3日お休みします。

 ○

それにしても、わずか10日ばかりのうちに、本当に涼しくなりましたね。
今もリーリーと盛んに秋の虫が鳴いています。

嬉しくもあり、寂しくもあり…この時期になると、毎年判でついたように同じ感想を抱きます。季節も人の感慨も、すべては大いなる円環の一部なのでしょう。