多面体日時計 ― 2012年01月29日 17時17分22秒
周囲を見回すと、なんだかんだ言って、リプロの品は結構あります。
たとえば下の品もそうです。
たとえば下の品もそうです。
この不思議なオブジェは、「多面体日時計」と呼ばれる、日時計の一種。
ちょうどヴンダーカンマー全盛の16世紀頃に流行ったもののようです。
各面がそれぞれ日時計になっていて、時針(ノーモン)が、ウニのようにツンツン突き出ています。こうすれば、太陽がどの高度にあっても、最も影を読みとりやすい面を選ぶことで、時刻をより正確に知ることができる…という効用があったのかもしれません。
ただ、人々の意識としては、そういう実用的な理由よりは、もっぱら細工の精妙さを愛でることに力点があったようです。まさにヴンダー志向が生んだ品。
オリジナルは、イタリアの地図製作者、Stefano Buonsignori(ステファノ・ブオンシニョーリ、?-1589)が製作したもので、現物はメディチ家コレクションを引き継いだ、フィレンツェの科学史博物館、「Museo Galileo」に収蔵されています。↓
実物と比べてみると、当然いろいろ違いもあります。
それに、遠目ならまだしも、近づいて見ると、リプロの方はプラスチックの多面体にプリント・シールを貼っただけなのが分かって、何となく侘しさが漂います。とはいえ、これは本物を望みがたい部類なので、これで良しとせねばなりません。
この日時計は、アンティークのリプロを多数手掛けている、スペインの Antiquus 社の製品で、オンラインで購入可能です。↓
■ http://www.antiquus.es/catalogo_en.php?sm=2&g=19
程よくヴンダー、程よく理科室 ― 2012年01月31日 20時29分50秒
理科室風書斎に何を求めるか。
比較的最近話題にした、トリノにある「ノーチラス」や、Vicious Sabrina的な、ダークなヴンダー路線ももちろん嫌いではありません。いや、はっきり好きと言ってもいいです。
しかし、もっと好きなのは理科室の風趣であり、学問としての博物学の味わいである…ということは、これまで何度も書いてきました。
あからさまなヴンダー路線は、何といっても面白く、感覚的な悦びを生みます。
しかし、ちょっと気を緩めると、単にゲテもの的な猟奇趣味に堕してしまう恐れもあり、理科室風書斎の実現に当たっては、その辺の「奇/驚」と「理/知」のバランスが肝要だと感じます。
そうしたことを考えていた折、これはちょっといいなと思える画像を、これまたblack‐poolさん経由で目にしました。オリジナル画像は、ニューヨーク在住の写真家、リチャード・バーンズ氏のサイトに掲載されたものです。
被写体はローマにあるTasso 高校内部。おそらく生物学教室に付属する標本室でしょう。
ワニの剥製や、鹿の頭骨が登場している時点で、濃厚なヴンダーカンマーの空気が漂いますが、周囲に並ぶ器具や薬品、それに正面にちらっと覗く教室風景に目をやれば、ここはやっぱり理科室の一部たることが明瞭で、その辺のバランスのとり方が絶妙です。言うなれば、ここは「理科室風ヴンダーカンマー」であり、「ヴンダーカンマー風理科室」というわけです。
もちろん、ここには「書斎」の要素がないので、ただちにこれが理科室風書斎のモデルとはなりえないのですが、こういう風情や空気感は大いに賞すべきものがあると思いました。



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