掌中の太陽系史…アエンデ隕石2008年07月17日 22時25分50秒

ヴンダーカンマー趣味というのは、単なる珍し物ずきにとどまらず、世界の全てを我が物としたい、あるいは自分だけの世界を創りたいという欲求と結びついているように思います。

世界の果てにある物、ひたすら古い物を求めるというのも、まずは世界の外縁をぐるりと縁取りたいという願望ではないでしょうか。

  ☆★

で、私の部屋にある古い物といえば、このアエンデ隕石。
これは古いです。ざっと46億歳。地球より古いとも言われます。太陽系の初期に形成され、その後砕け散った原始惑星の名残らしい。1969年、ちょうどアポロと入れ替わりに地球に飛来したのも何かの縁かも。メキシコのアエンデ村に落下した総量は、数トン規模に達し、その分商品としての流通量も膨大で、「貴重だけど安価」な隕石です。

まあ値段はともかく、今掌に46億年が乗っている…と思うと、それだけで頭の芯がジーンと痺れるような感じがします。

私は一応これの所有主なのですが、隕石からすれば、自分の年齢の1億分の1にも満たない、グンニャリした有機物の塊に主人面されて、大いに片腹痛い思いかもしれません。

コメント

_ S.U ― 2008年07月17日 23時23分02秒

極端に古い物を求める となると隕石になるのですね。

 つくばの地質標本館で、世界最古級というカナダ産の39.6億年前の石を
見たことがあります。その見た目は非常に新鮮でした(新たに割ってその
断面が展示されていたからです)。 どう想像しても地球最古の物とは
思えませんでした。そのへんの感じは隕石はいかがでしょうか。

 いっぽう古書は、わずか60年前の終戦直後の本が紙はヤケて変色して
古色蒼然たるものがあります。えらい違いです。

_ 玉青 ― 2008年07月18日 20時39分25秒

この辺までくると、「新しい」とか「古い」という言葉が、いったい何を指すのかだんだん判然としなくなってきますね。

昨日の記事の続きをつぶやくならば、「私のこの体を作っている元素は、お前さんのとおんなじ頃にできたんだぜ。まあそう怒るな、兄弟」と隕石に語りかけたいような気もします。

さらに言うなら、私の部屋でいちばん古いのは、「時空」そのものかもしれません。

◆私的な内容で恐縮です…メールをどうもありがとうございました。呆然として言葉がありません。ビックリついでに、またまた記事にさせていただきます。

_ S.U ― 2008年07月18日 21時36分19秒

確かに時空がいちばん古いですねぇ。それならうちにもありますよ。(決して広くないけど)
元素を持ち出して定義するならば、通常の意味で物が古い・新しいというのは、
「分子レベル以上のサイズで、原子核の組み合わせのアイデンティティが保たれている」
ということでしょうか。地球にある原子核は放射性でもない限り全部古いですから。
 細かいことはよく知らないのですが、そういう意味では、生物は新陳代謝があるので、
分子は頻繁に入れ替わっているのですよね。人間の細胞を構成する分子も入れ替わって
いるとしたら、人間はどちらかというと、媒体は変わるが情報は維持される、ファクシミリ版や
デジタルデータに近いものと言えるかもしれません。

_ 玉青 ― 2008年07月19日 14時56分32秒

どうもアイデンティティの話になってきますね。

素朴な話、運慶の仁王像が今後も修復を重ねて、少しずつ部材が入れ替わって行ったら、どの時点でオリジナルではなくなるんでしょうか。それとも全部入れ替わってもオリジナルなんでしょうか。

人間では実際にそうしたことが数ヶ月スパンで起こっているらしいですが、子どもの頃から、そのことがずっと不思議でした。

特に素材が入れ替わっても自意識が連続しているのが不可解で、それなら少しずつ脳を電子部品か何かに置き換えていったら、この「私」はスムーズに(意識が途切れることなく)機械に移行できるんだろうか…というようなことを考えたりしました。

自分とは何か。ちょっと前まで「その答は免疫系にある!」というようなことがよく言われて、それで何となく煙に巻かれましたが、今はどうなんでしょうね?

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