天文と気象(2)…講談社版・『天文と気象の図鑑』(前編) ― 2010年03月19日 20時37分12秒
いよいよロケットの時代です。
■天文と気象の図鑑(講談社の学習大図鑑1)
古畑正秋・高橋浩一郎・竹内丑雄(著)、講談社、昭和33年発行(昭和36年、第5刷)
昭和33年というのは1958年で、ソ連のスプートニク打ち上げの翌年になります。
そして、アメリカがすかさず対抗してエクスプローラーを打ち上げた年。
宇宙ブームの盛り上がりがすごかった頃ですね。
表紙絵を描いたのは、巨匠・小松崎茂。
改めて見るとものすごい絵ですね。地球を覆い尽くさんばかりの超巨大なオーロラ。その右手に不思議な放射光が見えますが、これは何でしょう?皆既日食を表現しているのでしょうか?そして、それらの脇をスカッと飛ぶ人工天体。基本デザインはエクスプローラー1号のそれですが、4本の通信アンテナの先からジェットを噴射しているのは、ちょっとやり過ぎ。
表紙を開くと、扉絵はこんな具合です。
天文ドームの前で熱心に上空を観察する少年少女たち。これはたぶん人工衛星の通過を観察している場面でしょう。少年の頬がつやつやしていますね。左下には「ソビエト」と「チェッコスロバキア」の人工衛星記念切手がペタリと貼られています。
本のタイトルは「天文」が先にきていますが、内容は身近な「気象」の方から説き起こしています。
雲の写生をする子どもたち。
ああ…いいですね。白い帽子がさわやかです。
四季の変化を説明するページには、季節ごとの子どもたちの様子が載っているのですが、上の写真は秋。「かき」というキャプションが素敵です。理科趣味とは関係ありませんが、胸がつまる写真です。こういう子供たちは一体どこへ行ってしまったのか…
もちろん、こういう子どもたちの姿と引き換えに我々が得たものもあるはずで、亡失をいたずらに嘆くのは当らないのかもしれませんが、ただ消え去ったものの価値は、まっすぐに見つめるべきではないか…という気がします。
(以下、同図鑑の天文篇につづく)
コメント
_ S.U ― 2010年03月20日 06時01分22秒
_ かすてん ― 2010年03月20日 17時33分42秒
動物図鑑が印象に残っているかな。ただ、へびとかウミウシとか気持ち悪くて開けたくないページがあったように記憶しています。ウミウシなんか今になるときれいで良いんですけどね。
図鑑ではないですが、小学校の読書の時間には宇宙の本がお気に入りで、もう読むところ無いのに毎回図書室で同じ本を借りていました。
図鑑ではないですが、小学校の読書の時間には宇宙の本がお気に入りで、もう読むところ無いのに毎回図書室で同じ本を借りていました。
_ 玉青 ― 2010年03月20日 18時12分50秒
○S,Uさま
私が最初に買ってもらったのは、小学館の『昆虫と植物』という、普通の学習図鑑シリーズとは別に出ていた「学習科学図鑑シリーズ」の1冊でした。単なる名寄せではなく、昆虫と植物の関わりを生態学的な視点から説明するというもので、1年生にはちょっと難しい内容でしたが、でも、思えばあの本はその後の物の考え方にまでかなり影響した気がします。
学研の学習百科大事典!S.Uさんのものと同じかどうか自信がありませんが、わが家にもありました。動植物の巻は、私が枕頭の書にしていたせいで、箱が壊れ、さらに表紙もなくなり、最後はボロボロの中身だけの状態で本棚に置かれていました。私の一生のうちで、あれほど読んだ本は後にも先にもありません。
○かすてんさま
>もう読むところ無いのに毎回図書室で同じ本を借りていました
あります、あります(笑)。暗記するまで読んだ本。
最近の私は、新しい本を読む気力に乏しいので、結局同じ本を繰り返し読んでいますが、外形は似ていても当時の経験とは雲泥の差です。あの得難い経験こそ、まさに少年時代の特権だったのかもしれません。
私が最初に買ってもらったのは、小学館の『昆虫と植物』という、普通の学習図鑑シリーズとは別に出ていた「学習科学図鑑シリーズ」の1冊でした。単なる名寄せではなく、昆虫と植物の関わりを生態学的な視点から説明するというもので、1年生にはちょっと難しい内容でしたが、でも、思えばあの本はその後の物の考え方にまでかなり影響した気がします。
学研の学習百科大事典!S.Uさんのものと同じかどうか自信がありませんが、わが家にもありました。動植物の巻は、私が枕頭の書にしていたせいで、箱が壊れ、さらに表紙もなくなり、最後はボロボロの中身だけの状態で本棚に置かれていました。私の一生のうちで、あれほど読んだ本は後にも先にもありません。
○かすてんさま
>もう読むところ無いのに毎回図書室で同じ本を借りていました
あります、あります(笑)。暗記するまで読んだ本。
最近の私は、新しい本を読む気力に乏しいので、結局同じ本を繰り返し読んでいますが、外形は似ていても当時の経験とは雲泥の差です。あの得難い経験こそ、まさに少年時代の特権だったのかもしれません。
_ S.U ― 2010年03月21日 07時04分33秒
お話を聞いていると、「人が本を待っているのか」、「本が人を待っているのか」ということを考えてしまいます。これは両方なのでしょう。
ところで、学研の学習百科ですが、私のは下のURLに引用されているシリーズのものです。私はこの「動物」を実家と現住所に1冊ずつ計2冊持っています。かすてんさんと同様、昔びびったページがあったので、懐かしくて古書店で買ってしまいました。
http://hurec.bz/mt/archives/2008/09/996_196104.html
(wadamy様のブックレビューより)
ところで、学研の学習百科ですが、私のは下のURLに引用されているシリーズのものです。私はこの「動物」を実家と現住所に1冊ずつ計2冊持っています。かすてんさんと同様、昔びびったページがあったので、懐かしくて古書店で買ってしまいました。
http://hurec.bz/mt/archives/2008/09/996_196104.html
(wadamy様のブックレビューより)
_ 玉青 ― 2010年03月21日 17時27分03秒
あ、疑問が解けました。
わが家にあったのは「少年少女学習百科大事典」全21巻ではなくて、その後身、昭和44~45年に配本された「学研学習百科大事典」全12巻のほうです。
でも、ご紹介のページに掲載されている昆虫の絵には見覚えがあります。
たぶん同じ図版を使い回していたのでしょう。
うーん、なんとも懐かしいです。
私も古書店で見かけたら買ってしまうかもしれません。
でも全巻買ったら置く場所がない……これは春とは関係なしに(笑)淋しいことですね。
+
人は本と巡り合い、言葉を交わし、引かれ合い、想いが通じ、時には裏切られ、諍いもする。
本は恋人であり、親友であり、ときには親とも子ともなる。
思えば不思議なものですね。
まあ、世界の99.99…%の本とは巡り合うことすらないので、巡り合った時点でなにがしかの「縁」を感じます。
わが家にあったのは「少年少女学習百科大事典」全21巻ではなくて、その後身、昭和44~45年に配本された「学研学習百科大事典」全12巻のほうです。
でも、ご紹介のページに掲載されている昆虫の絵には見覚えがあります。
たぶん同じ図版を使い回していたのでしょう。
うーん、なんとも懐かしいです。
私も古書店で見かけたら買ってしまうかもしれません。
でも全巻買ったら置く場所がない……これは春とは関係なしに(笑)淋しいことですね。
+
人は本と巡り合い、言葉を交わし、引かれ合い、想いが通じ、時には裏切られ、諍いもする。
本は恋人であり、親友であり、ときには親とも子ともなる。
思えば不思議なものですね。
まあ、世界の99.99…%の本とは巡り合うことすらないので、巡り合った時点でなにがしかの「縁」を感じます。
_ くらまま ― 2015年06月25日 17時16分06秒
はじめまして。
この図鑑のどこかに、昭和33年に東京でオーロラが見られたことが書かれていませんでしょうか?
この図鑑のどこかに、昭和33年に東京でオーロラが見られたことが書かれていませんでしょうか?
_ 玉青 ― 2015年06月25日 22時10分30秒
くらままさま
ご質問をいただき、今本棚から引っ張り出してきました。
ページをめくると…
ありました!
10~11ページの「ふしぎな光」というところに、「セントエルモの火」や「幻日」なんかと並んで、「この美しい大きなオーロラは、昭和33年2月11日午後7時ごろ、関東以北の地域で見られたものです。日本ではおそらくはじめてのことといわれています。」という説明文と共に、地平線上をピンク色の光が覆っているカラー挿絵(写真ではなく絵です)が掲載されていました。
ご質問をいただき、今本棚から引っ張り出してきました。
ページをめくると…
ありました!
10~11ページの「ふしぎな光」というところに、「セントエルモの火」や「幻日」なんかと並んで、「この美しい大きなオーロラは、昭和33年2月11日午後7時ごろ、関東以北の地域で見られたものです。日本ではおそらくはじめてのことといわれています。」という説明文と共に、地平線上をピンク色の光が覆っているカラー挿絵(写真ではなく絵です)が掲載されていました。
_ くらまま ― 2015年06月26日 08時20分56秒
玉青さま
早速ありがとうございました。
6月23日、シドニーやニュージーランド、サウスウェールズ、ケープコッドなど各地で赤色の低緯度オーロラが観測されたそうです。
それで50年ぶりに、この本に書かれていたはずの東京の赤いオーロラのことを思い出しました。
そうそう、写真ではなく挿絵でしたよね。とても懐かしく思い出しました。
ありがとうございました。
早速ありがとうございました。
6月23日、シドニーやニュージーランド、サウスウェールズ、ケープコッドなど各地で赤色の低緯度オーロラが観測されたそうです。
それで50年ぶりに、この本に書かれていたはずの東京の赤いオーロラのことを思い出しました。
そうそう、写真ではなく挿絵でしたよね。とても懐かしく思い出しました。
ありがとうございました。
_ 玉青 ― 2015年06月27日 13時22分06秒
ちょっとはお役に立てたようで嬉しく思います。
またどうぞお気軽にお立ち寄りください。(^J^)
またどうぞお気軽にお立ち寄りください。(^J^)
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
その後、気象、天文に移ったのは、「学研の少年少女学習百科大事典」がきっかけです。こちらは図鑑ではなく文字が主体でした。私にとっては図鑑や学習百科の影響はとても大きいかったのですが、これは人によって違うのでしょうか。