アフリカの巨人兵…棚の奥から(5) ― 2010年07月30日 18時11分28秒
そういえば、しばらく前に棚の奥を這いずっていて、その模様を書いている途中でした。眼球模型、南米の奇虫、太陽鳥、透明標本と来て、さらにその先へと進みます。
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その向こうに控えているのは、ゴライアスオオツノハナムグリ。
左からオオサマゴライアス、カタモンゴライアス、シラフゴライアスの3種です。
アフリカ最大の甲虫で、重さでは世界一といわれる巨虫。
ゴライアスは、聖書に出てくる「ゴリアテ」の英語読みで、その巨体から名づけられました。…と言われても、聖書の知識がないので、あまりピンときません。そこで改めて聖書を広げてみました。
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ゴリアテは「ペリシテびと」の巨漢。ペリシテびとというのは、ペリシテ(現在のパレスチナ)の地を占拠し、イスラエルの民を長く支配した先進民族です。イスラエル人が国家をうちたて、ペリシテびととの抗争に入ったとき、イスラエルの軍勢の前にぬうっと立ちふさがったのがゴリアテでした。
「時に、ペリシテびとの陣から、ガテのゴリアテという名の、戦いをいどむ者が出てきた。身のたけは六キュビト半。頭には青銅のかぶとを頂き、身には、うろことじのよろいを着ていた。そのよろいは青銅で重さ五千シケル。また足には青銅のすね当てを着け、肩には青銅の投げやりを背負っていた」(サムエル記 第17章)
6キュビト半というのは、およそ3.3メートルといいますから、おそるべき大男です。
イスラエル側はふるえあがってしまい、誰も戦おうとしません。そこにただ一人進み出たのが、まだ少年だった羊飼いのダビデ、後のダビデ王です。
このこわっぱめ!と侮るゴリアテに向い、ダビデは素早くつぶてを放ったのですが、その手並みや恐るべし。ゴリアテは見事に額を打ち割られ、どうとその場に倒れてしまいます。すかさずダビデはゴリアテの剣を奪い、その大首を刎ねたのでした。
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青銅の甲冑をまとい、大槍を背負った雄姿は、まことにこの虫を喩えるに相応しい。
とはいえ、聖書では猛々しい、いわば敵役のゴリアテですが、現実のゴライアスはもっぱら花蜜を食す平和主義者です。おとなしい虫を捕えて、こんな風に串刺しにする人間の方が、よほど獰猛な存在に思えます。
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