きのこの思い出2016年11月07日 20時01分26秒

ちょっと話題のエアポケットに入ったので、HDの隅にあった画像を貼っておきます。


季節柄、キノコの写真です。
1876年創業のドイツの理科模型の老舗、SOMSO(ソムソ)社製の「ベニテングタケ」。

SOMSO社公式サイト(英語版 http://www.somso.de/en/somso/

キノコらしいキノコといえばベニテングタケ…という単純な発想で発注したのですが、ドイツ本社も、たまたま在庫を切らしていて、届くまで随分待たされた記憶があります。


この写真を撮ったのは2010年で、発注したのはもうちょっと前だと思いますが、あの頃、小石川の「驚異の部屋展」には、立派なキノコの模型が鎮座していて(インターメディアテクに今も並んでいます)、理科趣味の部屋には、キノコがなければいけない…みたいな思い込みがあったのだと思います。

思えば、つい先日のことのようでもありますが、当時はまだアンティークのキノコ模型は流通量が少なくて、思い通りのイメージの模型を入手するには、新品を購入するしか手がありませんでした。そんなところにも、微妙な時代の変化を感じます。


ライティングの加減で、妙に暖色系になった写真。
記憶の中の光景をノスタルジーが色付けすると、ちょうどこんな感じになりますね。

ここに写っているモノたちも、その後の時の流れの中で、ずいぶん配置が変りました。
他人からすれば、どうでもいいことでしょうが、自分の身辺に起こったそういう些細な変化にも、6年間という時の重みをジワッと感じます。

なんだか、キノコのことを取り上げながら、キノコのことを何も語っていませんが、そもそもが形から入ったことなので、「きのこの思い出」もせいぜいこんなところです。

   ★

…と書くそばから、「いや、そんなことはない!」という内なる声が聞こえます。

 「キミは子供ころ、一生懸命キノコの乾燥標本を作ったじゃないか。お菓子の缶に大事にしまっておいた、あの標本のことを忘れたのか?『キノコの人工栽培』という本を図書室から何度も何度も借り出したのは、いったいどこの誰だ?朽木の上に列をなすオレンジ色の不思議な菌類をじっと観察したのは?キノコだけじゃない、シャーレに入れたパンや、牛乳瓶に流し込んだ寒天培地に生えてくるカビを飽かず眺めたのは、他ならぬキミじゃないか?」

――6年や7年どころではない、何十年も前の遠い記憶。
こういう思い出は、ふだんはほとんど忘れていますが、何かをきっかけに脳味噌の芯から噴き出すように涌いてきます。そして、こうして忘れずにいるということは、やっぱり大切な思い出なのでしょう。