彗星燃ゆ ― 2019年03月09日 08時14分36秒
「こまい」話といえば、私はこまいモノの収集家だったのを思い出しました。
それは「彗星のマッチラベル」という、こまいと言えば相当こまいもので、最近はちょっとご無沙汰していますが、一時はずいぶん熱心に探したものです。私はたぶん世界でも五指に入る「彗星マッチラベルのコレクター」でしょう。というか、ひょっとしたら、他にはいないかもしれません。(これまでネットオークションで競り合った記憶がないので。)
ただ、これらも単に集めたばかりで、個々の素性は調べてないので、コレクションとして中途半端な感はあります。おおざっぱに言えば、いずれも戦前~戦後しばらくにかけてのもので、同じデザインでも多言語で印刷されているのは、それが輸出仕様だからでしょう。
まあ、この辺はあまり色を成して調べるのも興ざめかも。
というのも、彗星マッチのラベル収集は、足穂趣味から派生しており、ここで追求されているのは、実在の彗星というよりも、「非在の彗星」、「想念の彗星」であり、肝心のマッチにしても、多分に想念の世界に属するからです。
異国の夜空に壮麗な尾を曳く彗星。
昔はマッチ大国だった日本の製品も頑張っています。
右は足穂のホームグラウンド、兵庫の小林燐寸製コメットマッチ。左はどこかのカフェー、あるいはバーの広告マッチでしょう。いずれも大正~昭和初期のもの。
★
マッチのデザインに彗星が取り入れられたという事実は、かつて忌むべき凶星だったものが、20世紀に入って、すっかり「カッコいい」存在になったことを示しています。でも、ハレー彗星騒動やら何やらで、妖しく危ないイメージも一方には依然あって、だからこそいっそう謎めいた魅力を感じたのでしょう。足穂氏が魅かれたのも、まさにそこでしょう。
多彩な彗星マッチの世界。
こまいながらも、なかなか心憎い連中です。
彗星シガーにシュッと火を点すのにも好いですね。
(画像再掲。元記事:http://mononoke.asablo.jp/blog/2017/09/16/)
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