カテゴリー縦覧…天文台編:エジンバラの丘へ2015年02月14日 10時09分34秒

非正規雇用は現代の「水呑み」であり、正社員は「本百姓」である。
そして、為政者は絶えず百姓を「生かさぬよう、殺さぬよう」搾り取ろうと
虎視眈眈としている。

…そう考えれば、眼前の事態の8割がたは正しく記述していると確信します。
本当に嘆かわしい世の中です。こんなことでは、いずれ大塩の乱が起こることは必定であり、為政者はよくよく心せよと、諫言申し上げたい。

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小さな惑星の、小さな島でも紛擾が絶えないのを遺憾としますが、こうべをちょっと挙げさえすれば、そこには無限の世界が広がっており、人間の存在など無に等しいことは、それこそ赤ん坊でも分かります。しかし、どうも人間は頭が重たいせいか、ついつい下を向きがちで、すると眼前の地べたに線を引いて、陣取り合戦などを始めたくなるものです。いっそ、人間の目が頭頂部についていれば良かったのに…と思います。

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そんな人間に代わって、頭頂部の目玉で始終空を眺めているのが、天文ドーム。


左側はエジンバラの王立天文台、右側はグリニッジ王立天文台のミニチュアモデル。
いずれも、Lilliput Lane http://www.lilliputlane.co.uk/)の製品です。
グリニッジの方は、イギリス最大の28インチ屈折望遠鏡を収めた「大赤道儀棟」(Great Equatorial Building, 1857完成)で、ずいぶん前に登場済みです。

手のひらのグリニッジ http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/05/15/1510226
 (記事中に間違いがあったので、この機会に訂正しておきました。)

リンク先の文中、リリパット・レーンのラインナップには、グリニッジ天文台関連の建物が、3つエントリーしていることを書きました。即ち、この大赤道儀棟と、同天文台のシンボルであるフラムスティード・ハウス(1675完成)、そして現在はプラネタリウムになっている南棟(South Building, 1899完成)です。それらも、いずれ登場の機会があるでしょうが、今日の主役はエジンバラ王立天文台。

【2015.4.20付記】
 本日、コメント欄で、リリパット・レーンが売り出したグリニッジ関連の商品には、もう1つ「Altazimuth Pavilion(経緯儀棟、1899)」という、愛らしい建物に材を取ったものがあり、そのラインナップは都合4つであることを教えていただきました。ここに訂正しておきます。(植草様、どうもありがとうございました)

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このモデルは、2009年の世界天文年に合わせて発売されました。

エジンバラ王立天文台は、もともと市の中心部に立っていたのですが、財政難による閉鎖問題が持ち上がり、その後、熱心な天文家でもあった第26代クロウフォード伯爵の支援により存続が決定し、それを機により優れた観測拠点とするべく現在地に移転しました。現在も残る建物は1892年から工事が始まり、1896年から正式に運用が始まりました。

上の写真だと、右手前に木が茂っていて、そこで建物が終わっていますが、実際の天文台はこの先にも建物が続いており、上空から見るとT字型をしています。

(グーグルマップより。右上に写っているのが東塔)


天文台のドームといえばお椀型の半球ドームが思い浮かびますが、こういう円柱(ドラム形)ドームを採用した例もあります。もちろん、この場合もドームは回転します。
実物は銅製で、その美しい緑青の色合いを、モデルはよく再現しています。

以下、建物の細部。


実際の建物は、もう少し黒っぽい外観をしており、モデルの方はいくぶんお伽チックですが、全体の構造はよく表現されています。


建物の設計者は王室工部局(Her Majesty’s Board of Works)所属のW. Wybrow Robertson という人。移転前の天文台がギリシャ神殿風だったのに対抗するためか、新天文台はローマ趣味の濃い、イタリア風建築になっています。

ちなみに、東塔の高さは75フィート(23m)、差し渡しは40フィート(12m)あります。
それと、肝心の機材はグラブ製15インチ屈折望遠鏡で、その外観は下のページで見ることができます(架台は交換されているかもしれません)。

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この手のひらサイズの天文台は、取得費用も低廉で、維持費もかかりません。移転も簡単です。観測機能に若干難のあるのが玉に瑕ですが、世の中に完璧ということはないので、これで良しとしましょう。

リリパット・レーンは、本当にいい仕事をしました。