中世がやってきた(2)2018年04月29日 15時46分50秒

わが家にやってきた、ささやかな「中世」。
それは、窓際に置かれたステンドグラスの残欠です。


その姿はブラインドの角度を変えると現れるのですが、ご覧のように書斎の窓は隣家の窓と差し向かいなので、気後れして、腰を落ち着けて眺めることができないのは残念です。




でも、思い切ってブラインドを上げると、こんなふうにアクリルフレーム越しに「中世の光と色」が部屋に差し込みます(隣家の壁と窓は、ゴシックの森か何かに、脳内で置き換えて味わってください)。


目にパッと飛び込む星模様に…


華麗な甲冑姿の騎士。



何百年も色褪せない、鮮やかな赤、青、緑、黄のガラス絵。

   ★

その技法から、おそらく1500年代にドイツ語圏(スイスかもしれません)で作られたものらしく、ちょっと「中世」と呼ぶには苦しいですが、近代以前の作であることは間違いありません。それに、ステンドグラスの制作は、16世紀後半~18世紀にひどく衰退し、19世紀になって俄然復活したので、その断絶以前の「中世ステンドグラスの掉尾を彩る作例」と呼ぶことは、許されるんじゃないでしょうか。

   ★

ところで、上の写真で明らかなように、このステンドグラスは絵柄がバラバラです。
これは古いガラス片を寄せ集めて、再度ステンドグラスのパネルを拵えたためです。

誰が何のためにそんなことを…というのを考えるために、ここで記事を割って書き継ぎます。


コメント

_ S.U ― 2018年04月29日 20時42分06秒

 へーぇ、このステンドグラスはそんな古物なんですか。よろしいですねぇ。
ドイツ語?を読んで見たらわかるかもしれないと思いますが、あいにく断片で途切れていて解釈ないのでしょうね。

 中世はいつまでか? 日本では、徳川幕府を開くとともに文化が変わったとは思えないので、応仁の乱まで、足利将軍追放まで、大坂の陣まで諸説あるんでしょうが、1500年頃は日本は中世でしょうねぇ。西洋でも、天文学としては、ティコ・ブラーエより前は中世でいいんではないでしょうか。

_ 玉青 ― 2018年04月30日 11時57分00秒

アンティークのステンドグラスと称するものは、たくさん売られていますが、たいていは19世紀の復興ステンドグラスの残欠で、本当の古物は少ないようです。その意味で、これはやはり貴重なものと思います。

特定の学問分野に限れば、それぞれ独自の画期があるので、わりと時代区分というのは設定しやすいと思うんですが、多くの学問分野を束ね、さらに政治・経済・文化の総体を輪切りにする時代区分設定というのは、まことに難しいですね。結局のところ恣意性を免れませんから、学者の数だけ答えはある…という投げやりな結論にもなりかねません。

日本史における、古代、中古(平安)、中世、近世、近代の5区分法も、多年にわたる苦労と妥協の産物として、最大公約数的に編み出されたものでしょうけれど、各期の交わるあたりは、どうしようもなく混とんとしていますね。まあ、虹の色模様みたいなものでしょうか。

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