博物美の空間2019年03月18日 06時41分57秒

硬いアジサイの玉芽がほぐれ、気が付けばつやつやとした若葉になっていました。いよいよ春本番。その若緑の奥には、来るべき夏の光までもがにじんでいるようです。

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さて、星の七宝展に続き、これまた今週土曜日から始まるイベントのお知らせ。

(今回はハガキではなく、立派な―いつも立派ですが―冊子のDMをいただきました)

第7回博物蒐集家の応接間 博物様式 美の蒐集
○会期  2019年3月23日(土)~3月27日(水)
       10:00~20:00 (最終日は19:00終了)
○会場  三省堂書店神保町本店 8階催事場
       東京都千代田区神田神保町1-1 TEL 03-3233-0285
〇公式サイト(参加者紹介ページ)

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名古屋のantique Salonさんが企画され、多くのアンティークショップの賛同により実現したこのイベントも、今回ではや7回目。今回はさらに現代の創作家も多数参加し、「博物様式」という、古くて新しい美意識の具現化に力を添えています。

(DMより)

参加されるのは、antique SalonJOGLARLandschapboekメルキュール骨董店O BEL INVENTAIRESommeilの6店舗、そしてアーティストして、Abilletage(オリジナルコルセット)、Arii Momoyo Pottery(陶芸)、GREEN-EYED CREATION(銅版画)、Noriko Okamura Dolls(動物人形)、Tokyo Jesus(生と死をめぐる造形作品)といった方々が名を連ねています。

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モノそれ自体と、モノによって構成される空間は、基本的に別物です。
それはあたかも、内臓諸器官と、その集合から成る人間が別物であるのと同様です。いつだって全体は部分の総和以上のものです。

興味の在り様として、私はどちらかというとモノ自体の素性や、モノの背後に秘められたストーリー、あるいはそれが成立した歴史的文脈に惹かれる傾向が強く、日ごろ書いている記事も、多くはそうした書きぶりになっています。

一方、antique Salon 店主である市さんにとっては、モノにまつわる故事来歴以上に、そこから立ちのぼる「美」こそが決定的に重要であり、それは他のモノとの組み合わせや、それが置かれる空間によって、いっそう匂い立つのだ…という、決然たる唯美主義がそこにはあります。(私も博物館という空間や、書斎の空気感は大好きで、そうしたものを自室に持ち込もうと努力はしていますが、それは幼い日の憧れの延長にすぎず、唯美主義というほど洗練されたものではありません。)

(同)

市さんの掲げる「博物様式 美の蒐集」という今回のテーマは、博物趣味に彩られた美的空間の創出を目指しているのはもちろん、「博物趣味は総合芸術たりうるのだ」という、いっそう大きな主張にもつながっていると思います。市さんは、以前は現代作家さんとのコレボレーションに相当慎重でしたが、積極的にそうした方向に舵を切られたことは、異風の総合芸術の完成に向けた、一種の必然的進化なのでしょう。

   ★

最近、antique Salon さんを訪ねる機会がなかったので、以上のことは全て私の勝手な想像です。いずれ折を見て、市さんから直々にいろいろなお話を伺えればと念じています。(サロンの名のとおり、あそこは実に居心地の良い空間なので、皆さんもぜひイベントと併せて、お店の方にも足をお運びいただくことをお勧めします。)

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