星座のトランプ2007年04月20日 22時16分23秒

The History of Astronomy Discussion Group、略称 HASTRO-L というメーリングリストがあって、これまでも何回かネタを貰いましたが、その新着情報です。

 ★    ☆    ★

イギリスの天文学者、ジョセフ・モクソン(Joseph Moxon、1627-1691)が、1676年に星座をテーマにしたトランプ(playing cards)を出版しており、その解説用ブックレットがオンラインで読めますよ…という話。

http://www.phys.uu.nl/~vgent/downloads/moxon.pdf

一瞬、そのトランプ自体を見られるのだと早とちりして、「お!」と思ったのですが、よく見たら、載っているのは字ばかりの解説書だけということで、一寸がっかり。投稿者も、トランプ本体に関する情報をぜひ、と呼びかけていましたが、これは何としても見たいですね。

以下は、投稿者のメモ。

「モクソンの冊子は、他にも以下の点で興味深い。
○6~8頁には、星座に関する一風変わった韻文が載っている。
○11頁で、天の川のことを「Watling-street〔ウォトリング街道;イングランド
 とウェールズを結ぶ古道〕」と呼んでいる。(Allen の STAR NAMES の477
 ~478頁を参照のこと。)
○15~50頁は、星座の神話に充てられている。」

何はともあれ、早くも17世紀には、天文学がこれほどポピュラーになっており、遊具化されていたというのが、驚きであり、新たな発見でした。

以前の記事に載せたように(※)、天文趣味が一般に普及したのは、18世紀も後半になってからのことだと思っていたのですが、その辺は再考の余地があるかもしれません。

(※)http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/09/13/522076

コメント

_ Bay Flam ― 2007年04月21日 18時08分07秒

コメントならびにお誘いありがとうございました。

 これは興味深いお話をお聴きしました。ジョセフ・モクソンと言えば、あの片側は地図、片側は天球図といった一風変わった星図の著者ではありませんか。件の解説書のタイトル・ページによれば、彼は王室付の水路誌学者(Hydrographer to the Kings)ですか、なるほど。時期的にはハレーやフラムスティードと重なりますね。
 で、件の解説書の末尾に目録が載せられていたので、これも珍しいと思っていたら、モクソンは自分で本を作って、更に「アトラスの宮殿」という自前のショップを持っていてそこで販売していたんですね。

 私も、1600年代はお堅い学問・教育用の素材しか作られていないと思い込んでいましたから、その固定観念を見事に打ち壊してくれましたね。本当に、当時既にこのような遊び心(?)のあるものが作られていたとはオドロキを禁じ得ません。ML の投稿者のヒト、GJ っス。いや、それ以前に、こちらを伺うまで、チョコ・カードとかシガレット・カードなどのオマケ攻勢があったことも知りませんでしたからね。
 私もトランプの現物が気になります。それだけでなく、モクソンのショップで売られていた他のグッズも気になります。ただ、「よく見たら、載っているのは字ばかりの解説書だけということで、一寸がっかり」とありますが、星座オタな私にとってはこの文字だけの解説書でも願ってもいない格好の資料になります。非常にありがたいです。

*あと、ファイルのリンク先は
 http://www.phys.uu.nl/~vgent/downloads/moxon.pdf
 ではありませんか? ssht_45.pdf だとエラく重い論集がダウンロードされちゃいますけど。(これはこれで嬉しい有用な資料になりますが)

_ 玉青 ― 2007年04月21日 20時03分11秒

BayFlamさま、さっそくのコメントありがとうございました。
またリンクミス、大変失礼しました。ご指摘の通りです。さっそく修正しておきました。

さて、モクソンの冊子ですが、私は見た瞬間「あ、字ばっかり」ということで、内容の方は殆ど読んでいないので、末尾の目録も気づきませんでした。なるほど、これはまた興味深い当時の天文事情がうかがえますね。

トランプの方は、さしもの考証好きのリストメンバーたちも依然沈黙しており、情報なしです。現物を拝むのは相当難しそうです。

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