銀河のガラス模型…キュービック編(5)2010年06月22日 06時23分00秒

さて、眠気の取れたところで昨日の続き。
この品はイギリスのクリスタル・ネビュリー社の製品です。

サイトを見ればお分かりのように、同社の製品は、土星のモデルを昨年紹介済みです。

■みんな土星が大好き…The Crystallized Saturn
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/10/01/
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/10/04/

で、今回は銀河の模型。
同社の説明によれば、これは250垓分の1(=2.5×10の22乗分の1)モデルだそうです。ということは、電卓を叩くと、このキューブの1辺はざっと16万光年。

(↑下の「The Milky Way」という文字もレーザー加工)

先のリビングワールド社のものは、1辺が10万光年という触れ込みでしたから、それを基準にすると、もうちょっと渦巻きが小さく表現されても良いような気もしますが、この辺はもう誤差の範囲ということでしょうか。

このモデルは近赤外線で見た銀河系を表現したもので、原型はノッティンガム大学のMichael Merrifield 教授が制作しました。高性能のYAG(ヤグ)レーザーで打ち込まれた点の大きさは50ミクロン、その総数は30万個に及びます。リビングワールド社のものは8万個の点から表現されているので、単純に数だけ較べれば、非常に高精細なモデルです。

(↑斜めから見た銀河。リアル!)

とはいえ、これはやはり「モデル」であって、銀河系の姿そのままではもちろんありません。

「この模型のレーザー打点密度は、銀河系内での実際の恒星の
密度を忠実に反映しており、その意味ではリアルな縮小モデルと
いえます。しかし、球状星団以外の個々の星は、実際の位置に
置かれているわけではありません。というのも、ガラスの中の打点は、
恒星と1対1対応するものでは決してありえないからです。つまり、
この模型はわずか30万個の点からできているのに対し、銀河系
には約1000億個の恒星が含まれており、しかも、このちっぽけな
点ですら1つの恒星と見なすには大きすぎます。この模型の縮尺で
いうと、1個の恒星は原子よりも小さくなってしまうのです!」
(同封パンフレットより)

なるほど。「真の銀河」は、このモデルの背後に心眼で見る必要があるわけですね。

   ★

この製品、イギリスからの送料込みで55ポンド。今だと約7500円ですから、これは相対的にリーズナブルな価格と言えるのでは。

コメント

_ ドミニク ― 2010年06月22日 10時51分16秒

こんにちわ。google稲垣足穂の画像検索結果でこちらのブログを知りました。
僕の好きなものばかりがずらっと並べられていて酔いしれてしまいます(^^。
これからもがんばってください。

_ 玉青 ― 2010年06月22日 20時16分49秒

ドミニク様

足穂経由でお越しとあれば、さあさあ大いに飲むべし、酔うべし。もうへべれけになってください(笑)。私もひとつ御相伴させていただきましょう(今すでに酔眼気味なので、失礼の段お許しください)。

私はがんばるのが嫌いなので、これからもがんばりませんが(笑)、なるべく楽しく続けていくつもりです。ドミニクさんも、ぜひお気軽にお立ち寄りいただき、またコメントなどお寄せいただければ幸いです。

_ S.U ― 2010年06月22日 23時38分58秒

この銀河系は棒渦巻の棒構造が長いようです。最新の観測に基づくものなのですね。昔の銀河系の想像図には棒構造が描かれてないものが多ほとんどだったように思いますから、このへんが現代の観測の「目に見える」成果といえるのでしょう。

(つまらぬものをお送りしましたが(といっては西洋の製作者に失礼)、何かのネタになりましたら幸甚です。)

_ 玉青 ― 2010年06月23日 21時07分19秒

ウィキペディアを見たら、銀河系の棒渦巻き構造が言われるようになったのは、1980年代以降だそうですね。自分史的には、あまり天文と接点を持たずに過ごしていた時代なので、その当時の学説の変遷は何だかボヤ~ンとしています。ただ、そこで決定的な役割を果たしたのが近赤外線観測だと聞き、赤外線を発見したウィリアム・ハーシェルの功績を改めて思うと同時に、現在のハーシェル宇宙望遠鏡の活躍を連想したりました(模範的ハーシェル協会員ですね・笑)。

※美味しいネタをありがとうございました。今料理の仕方を考えています。

_ S.U ― 2010年06月24日 23時28分07秒

あぁ、赤外線を発見したウィリアム・ハーシェル! 赤外線はみんな知っています。プリズムで投影して光のないところに温度計を置く、というようなアイデアも印象に残りますが、発見者の名は意外と物理学の関係者にさえあまり知られていないのではないでしょうか。

>銀河系の棒渦巻き構造が言われるようになったのは、1980年代
 そのころでしたか、それまでベターっとした円盤状だと思っていたわが銀河系が棒渦巻きだと聞いて、何か「藪から棒」というか、体内に結石がみつかったような、おちつかない心持ちがしました。

_ 玉青 ― 2010年06月25日 16時07分37秒

藪から棒(笑)
暗黒の吸収物質の藪の中に輝く棒が…これは言い得て妙ですね。
そして、その輝く棒の中心には、また暗黒の大穴があるそうですから、我が銀河系もなかなか一筋縄では行きませんねぇ。

_ S.U ― 2010年06月26日 11時58分53秒

>藪から棒…言い得て妙
おぉ、書いた本人の茫洋とした脳からはとても汲み出せぬほどの深い意味があったとは

_ 玉青 ― 2010年06月26日 18時19分18秒

結石の方は、ぜひ深遠な言葉が成就しませんように…

_ ひろぽん ― 2011年10月02日 21時15分59秒

はじめまして。ガラスの銀河模型が欲しくて、探していてたどり着きました。Crystal Nebulaeの物が価格的にも手が出しやすいのですが、「The Milky Way」という刻印が本体にされているのか、気になります。できれば、刻印なしでシンプルな物が欲しいのですが。。。

_ 玉青 ― 2011年10月03日 04時27分58秒

ひろぽんさま、はじめまして。
この文字は、銀河そのものと同じく、キューブ内部にレーザーで刻字されています。
おっしゃる通り、これは無い方がいいですね。ちょっと垢抜けない印象です。
ただ、銀河の表現に関しては、類似品の中でいちばんだと思うので、その辺をトータルに見てどう判断するか。最後はひろぽんさんの腹一つですが、まあ、こういうのはあれこれ悩むのも楽しみといいますか…(笑)

_ ひろぽん ― 2011年10月03日 13時33分38秒

玉青さん、返信ありがとうございます。
そうですか、CNの物は内部に刻印されているんですね。ちょっと残念です。
Basthsheda Sculptureの方は送料が$51もかかるみたいなので、CNかリビングワールドかで悩んでいます。
でもきれいに再現されているのでしたら、CNかなぁ。。。
先日、名古屋市科学館でガラスの中に銀河が表現されている模型を見て、すごくきれいで印象的で、欲しくなりました。銀河をつまみにお酒を飲むなんてできれば最高です!

_ 玉青 ― 2011年10月05日 20時44分28秒

おお、名古屋市科学館の情報をありがとうございました。
ひろぽんさんもお近くのようですね。

新装なった同館を、プラネタリウムともども、一度のぞいてこようと思うんですが、まだまだ混んでいそうな気がして、果たせずにいます。
でもお話を伺い、俄然行く気が高まったので、いずれまた記事として取り上げようと思います。

ひろぽんさんが、早くお好みの銀河で乾杯!といきますように。

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