天文古玩・再考(9)…オーラリーと天球儀(3)2011年05月06日 17時08分08秒

このシリーズはけっこうしんどいです。
というのも、かなり無理をして書いているからです。

たしか望遠鏡の記事を書いたときに、「鶏口牛後」とか「本物志向」とか、強く出たわりに、オーラリーと天球儀については、本物の古玩が登場する可能性は限りなくゼロに近いです。それぐらい、壁の厚い世界です。再三お金のことを言って恐縮ですが、「古いものは高い」という、非常にシンプルな世界なので、その中でいったい何をどう再考すればいいのか、若干戸惑いがあります。

しかし、落ち着いて考えてみれば、私が直面している問題は、我が国の(←なんだか話が大きいですね)平均的趣味人が等しく抱えている問題であり、そうした限られた資力の中で可能なことは何か?を書くことには、それなりに意味があるかもしれません。

   ★

ところでお金のからむ話として、1つの情報をお伝えします。
以前記事にしたデアゴスティーニのオーラリー(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/01/16/4061703)、あれが新品として叩き売りされているという、購入をためらっていた方には朗報ですが、正規の価格で購入された方にとっては、かなり衝撃的なニュース。


まさにデアゴのオーラリーそのものです。それが今なら399ドル。送料が109ドルと大分かさみますが、それでも合計約500ドルですから、ちょうどデアゴの半額です。電圧はちゃんと日本向けに調整してくれるそうで、その組み立て済みの新品が上記の価格。

いったい何が起こっているのが一瞬分かりませんでした。
でも、売り手の所在地を見て納得しました。この品は中国の深セン市(センは土偏に川)が発送元になっています。要は、デアゴのオーラリーの製造を請け負った中国メーカーが、そのまま独自に製造を続けて(権利関係がどうなっているかは不明)、安売り攻勢をかけている…のではないかと思います。

なんとも商魂たくましいというか、でもこれで利益が出るのですから、デアゴも結構マージンを取っていたんだなあ…と思わなくもありません。
私自身は購入の予定はありませんが、発売当時、「半額なら買う」と言っていた人が結構いた記憶があるので、とりあえず判断の材料に供したいと思います。

ちなみに、その後デアゴから出た「三球儀タイプ」も、439ドル+送料109ドルで販売しているそうです(これもちょっと気になりますね)。



それにしても、いずれこの会社から買った人が、中古で再出品したら、それこそ価格破壊でしょうね。。。


【付記】
スチームパンク大百科(by 麻理様)の記事を読むと、元々イギリスでの売価は日本の半額だったそうで、そうなると「叩き売り」というほどでもないですね。
正規版がドル建てでいくらだったか不明ですが、イギリスの例だと、正規版は307ポンド(約4万円)、そして上の中国版は、イギリスのeBayにも出品していて、そちらは現在243ポンド(約3万2千円)、つまり正規版の2割引きです。
もともと日本の価格が高過ぎたのかも…。

コメント

_ たつき ― 2011年05月06日 20時08分19秒

既出かもしれませんが、では(いわゆる)オーラリーをせめて見学できる場所というのはあるのでしょうか。手に入らないのなら、せめて実物を目の前で見たいです。そして、自分で動かせたらいいのですが。
本物はデアゴスティーニの完成品を買うしかないようですね。
そして、普通はやはり電気で動くものなのですね。手で歯車をぐるぐる動かすものはないわけだ。残念です

_ 玉青 ― 2011年05月06日 23時15分55秒

何となくガッカリ感の漂うコメントですねぇ^^;
以下のコメントで、たつきさんのガッカリ感が一寸でも薄まればいいのですが…。

>では(いわゆる)オーラリーをせめて見学できる場所というのはあるのでしょうか。手に入らないのなら、せめて実物を目の前で見たいです。そして、自分で動かせたらいいのですが。

博物館とかにありそうですが、今その実例を思い出せません。
博物館以外で思い付く場所は、1か所だけです。そこは確かに自分で動かせます。
それはディズニーシーのアトラクション、「フォートレスエクスプローション」の中にある「チェインバーオブプラネット」という部屋です。部屋全体が巨大なオーラリーになっているという驚きの空間で、ディズニーが苦手な私にとって、ネモ船長の書斎と並ぶ、数少ないお気に入りの場所です。(参考→http://photoxp.daifukuya.com/exec/fujifilm/9382


>本物はデアゴスティーニの完成品を買うしかないようですね。
>そして、普通はやはり電気で動くものなのですね。手で歯車をぐるぐる動かすものはないわけだ。残念です。

これは「本物」の定義にもよります。子ども向きのプラスチック製の太陽系モデルもあるにはありますが、たつきさんの嗜好には合いそうもないですね。

総金属製のものとなると、本当のアンティークか、さもなければ現代の作家物ということになりますが、それらの中には手動式のものもたくさんあります。

例えば、オーラリー作家であるBrian Greig氏(オーストラリア在住)のサイト(http://www.orrerymaker.com/index.htm)をご覧ください。氏の仕事は、過去のオーラリーの精巧な復元が中心のようです。ただ、ここまでいくと、本物のアンティーク並みに値が張るんじゃないかと思います(サイトには価格が明示されていませんが、見るからに高そうです)。

もうちょっと手前の値段で探すと、こちらや(大型)↓
http://curiousminds.co.uk/product_info.php/products_id/774?osCsid=b4918642f41f01855d10d5762f450f35
こちら(小型)↓
http://curiousminds.co.uk/product_info.php/cPath/85_163/products_id/900?osCsid=b4918642f41f01855d10d5762f450f35

大型は約23万円、小型は約12万円です。ただし、手で動かせるのは大型だけで、小型の方は電気駆動オンリーです。

総金属製にこだわらなければ(デアゴも部分的にプラ部品が使われているらしい)、一層リーズナブルで、しかも手動式の品もいくつかあります。ただ、それらについては、また別に記事にしたいと思っているので、今しばらくお待ちください。

いずれにしても、金属を主体にした製品となると、上の記事で取り上げた中国版デアゴの399ドル(+送料)が、下限に近い額じゃないかなあ、と思います。

_ astray ― 2011年05月06日 23時29分46秒

通りがかりの者ですが。。。
"手で歯車をぐるぐる" ってので、思い出しちまいました。
皆様先刻御承知とは思いますが。。。
http://www.youtube.com/watch?v=4eUibFQKJqI
http://www.antikythera-mechanism.gr/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A9%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%A9%9F%E6%A2%B0

_ 玉青 ― 2011年05月07日 09時45分35秒

astrayさま、情報をありがとうございます。
ご紹介の動画は初めて見ました。いやあ、いいですねえ。
そして見ているうちに、私も思い出したのが、レゴ製のアンティキテラ。
…と思ってよくみたら、関連動画欄に挙がってましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=RLPVCJjTNgk&feature=related
まあ、映像もモノもビックリですが、公開から半年で167万回も再生されているのを知って、そちらもヒエーです(笑)。

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