幻灯スライドの話2015年01月24日 13時35分56秒

ここで話の順番として、最近買ったガラススライドをご紹介したいのですが、その前に一つ告白すると、私はモノとしてのガラススライドに関する知識が乏しくて、その歴史や時代判別が、いまだによく分かりません。

例えば、一昨日の土星のスライドを「20世紀初頭」と書きました。でも、それは売り手の言葉をそのまま信用して書いたまでで、あまり自信はありません。「いや、せいぜい1920~30年代のものじゃないの?」と言われれば、そんな気もするし、「そんなことないですよ、19世紀後半は十分ありますよ」と言われれば、あるいはそうかとも思います。

そもそも幻灯の歴史は17世紀にさかのぼり、18世紀には大衆向けメディアとしてかなり一般化していたらしいですが、その辺の筋金入りの骨董品はさておき、現在市場に大量に流通している19世紀~20世紀の幻燈スライドについて、その時代的特徴が簡便に分かるガイドのようなものがあるといいと思うのですが、寡聞にして知りません。

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以下、想像でものを言うと、そもそもスライドに関しては、そういう手がかりが最初から無いのかもしれません。

ごく大雑把に言って、木枠に入ったハンド・ペイントのスライドであれば、19世紀前半~半ばくらいのものと見なせますし、写真を元にしたスライドならば、1870年代~20世紀半ばのものだろうと思いますが、さらに細かい時代分けになるとさっぱりです。
その形式や印刷技法によって、たとえ消印がなくても、20年間隔ぐらいのスパンで時代を特定できる絵葉書とは、その点でかなり異なります。

たとえば、ブルックリン博物館が収蔵するガラススライドの展示を見てみます。


リンク先は1870年代のスライドを紹介するページですが、右側のボタンを押して1930年代のスライドまで順次眺めても、この60年間、モノとしての変化はほとんど感じられません。

もちろん、風景・風俗に関するスライドであれば、写っている対象そのものが時代を雄弁に物語りますし、メーカー名があれば、そのメーカーの活動期から作られた時代を類推する手もあります。しかし、逆に言うと、こうした手がかりがない場合、1枚のスライドをポンと見せられて、その時代を判別することは、一般にはかなり難しい仕事じゃないでしょうか。

ただし、カラースライドに関しては、そのカラー化の技法に応じて、ガラスに手彩色なら第1次大戦前だろうとか、「セロハン・スライド」(セロハン紙に印刷した絵をガラス板でサンドイッチしたもの)なら、1930年代ぐらいかなとか、もう少し見当は付けやすくなります。

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…という長い前置きの末にご紹介するのは、問題のセロハン・スライドです。

(この項つづく)

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