南京・紫金山天文台2006年05月17日 05時54分36秒


昨日の夜中、無事中国から帰ってきました。

今回は天文とは直接関係のない旅でしたが、現地で時間に余裕ができたので南京の紫金山天文台を見てきました。

ここは、中華民国時代の1934年に創建された、中国では最も歴史のある近代的天文台の一つ。

美しい緑の中に点在する、重厚な石造りの建物群が予想以上に良い雰囲気でした。メイン機材がドイツ製(カール・ツァイス)ということもあり、何となく全体のムードもドイツ風。

上の写真は子午儀室の入口。「子午儀」の書体と、古風なランプの取り合わせがアンティークな味わいです。

訪問する前は、同天文台は現役で活動しているのかと思っていたのですが、すでに活動を終えて久しいらしく、今では一種の記念館のようになっていました。ただし、あまり整備が行き届いておらず、廃墟のような趣の建物も多いのですが、そこがまた私には好ましかったです。

紫金山天文台には、日本の昭和天文史と切り離せない歴史的エピソードもあるので、その辺のことは稿を改めて記述したいと思います。

■5月18日付記

いいかげんなことを書いてすみません。
よくよく話を聞いてみると、組織としての紫金山天文台は健在で、各地に観測サイトを設けて、今も最先端の研究に取り組んでいますが、南京市内にある紫金山頂の施設群はすでに現役を終えた、というのが真相のようです。
(東京天文台と同じような感じですね。)

同天文台公式サイト http://www.pmo.ac.cn/index.asp (中文)

コメント

_ SBOD ― 2009年05月29日 00時45分34秒

Well, I have something to say.

During the war, the 135mm Swiss Made 子午儀 (cost $44,000) was left there. And after the war, people found it was already destroyed.


At December 1938, Mr. 余清松, the designer of the observatory, asked his German friend to visit the observatory. The German told him:


"The buildings looked almost the same, but chaos inside, the ancient instruments are still there."

_ 玉青 ― 2009年05月29日 18時08分19秒

この時期のエピソードは、長い長い日中天文史の暗黒面ですね。
我々は事実を全て直視して、次代への教訓としましょう。

本来宇宙に国境はなく、天文趣味にもまた国境はありません。
大砲よりも望遠鏡を!と、「天文古玩」はささやかながら声を上げたいと思います。

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