巴里に咲く妖花。自然史博物館にみなぎる怪しの力2010年09月15日 19時49分15秒

今、窓から聞こえるのは、しずかな雨音だけです。
雨と共に、ついに秋がやってきました。

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さて、パリ自然史博物館の2枚目です(裏面のメモ書きによれば、1918年の絵葉書)。

キャプションには、「ゾウの骨格」(Squelette d’Éléphant)としか書かれていませんが、マンモスでしょうか。
ズーン、ズーン…と、今にも地響きを立てて歩き出しそうな、これまたすごい迫力です。
周囲を見回せば、どこもかしこも骨、骨、骨。まさに骨の王国ですね。

そして、廻廊を彩る蔓草モチーフの手すりにも目を奪われます。
ウィーンの自然史博物館と同じく、ここでも自然のデザインと人工のデザインの奇怪な競演が見どころになっているようです。

それにしても、画面右上の壁面はいったい何でしょうか?
ヒトの頭蓋骨が並んだ陳列ケースの上に、これまた人面?のオブジェが無数に並んでいます。まるで、ふくしま政美のカルト漫画、『聖(セント)マッスル』に出てくる「人間城」―人体を積んで作られた城― のようです。
(さすがにフランスの人も気持ち悪いと思ったのか、一昨日のリンク先を見ると、このオブジェは現在取り払われているようです。)


ここには、空間全体に漂う「何か」がありますね。
19世紀科学にはあって、今のそれにはない「何か」が。
(怪奇と幻想と装飾性でしょうか。)