透き通った世界2013年12月08日 10時07分37秒

以前、「天体議会」の話題を書いていた時に、一粒の蛍石を登場させました。
http://mononoke.asablo.jp/blog/2013/08/23/6955616

あの1粒を選り出すために、いささか無駄とは思いましたが、袋入りのタンブルを買いました。しかし余った石の処置に困り、ありあわせの壜に入れて、そのまま机の隅に置いてあります。


今、こうして改めて見ると、なかなか美しいものだと思いました。


ガラスの中に、さらに透き通ったものがあるというのがいいのでしょう。


透き通った青
透き通った紫
透き通った緑

   ★

いっそ世の中すべてが美しく透き通っていたら…と思いますが、現実にはいろいろドロドロしたものがあって、隠しておきたいものもあります。それは私自身の心もそうですし、国家という組織もそうでしょう。あの孔子先生ですら「知らしむべからず」と言ったぐらいですから、理想の徳治国家が仮にできたとしても、国家機密というのはなくせないのかもしれません。

ただ、現実の日本は徳治国家でも何でもなくて、平凡な人が集まって、平凡な幸せを何とか実現しようと汗をかくのがせいぜいですし、時には良からぬことを考える人もいますから(というか、平凡な人の心の内には、いくぶん良からぬ思いが混じっているものです)、凡庸な悪を防ぐ手立てが「絶対に」必要です。

   ★

さて話はかわって。


昨日の禁書目録も「インデックス」でしたが、こんなインデックスなら大歓迎。
米澤敬氏の鉱物エッセイ、『MINERALIUM INDEX』(牛若丸出版、1996)。
1篇が1ページかっきり。それが9篇集まって1章を構成し、全体では9章81篇のエッセイから成るという、それ自体が鉱物の結晶構造を思わせる凝った本。

左側はフジイキョウコさんから頂いたイベントのご案内(本ブログでは第2報)。
地球の欠片~鉱物アソビの贈物展~」は、いよいよ今週金曜日から開催です。
(公式サイト http://materiobase.jp/yoluca/koubutsu.html

コメント

_ astray ― 2013年12月08日 10時42分24秒

全く関係ないのですが。。。
なんだか、こんなのを思い出しちまいました。
http://www.thedesignium.com/private/1
どなたの記事なのかも存じません。
いろんなバリエーションがあるよーです。

_ S.U ― 2013年12月08日 12時10分38秒

お写真を見て、たまたま今朝読んだ「天の川の列車に乗った夜」の場面と符合していたので驚きました。白鳥駅からプリオシン海岸に行くときに、河原の礫はみんな透き通っているとありますので、これは賢治グッズにもなるのではないでしょうか。
 なお、「のだめ式」は今2サイクル目の第7節です。2サイクルが有効でそれはまたのちにご紹介させていただくことにしまして、とりあえず「原文」を引用しておきます。

"I ciottoli sul greto, tutti transparenti, erano davvero cristalli, ma c'erano anche topazi e pietre dalla superficie screziata, ..." 

こういうところは字面だけで目が覚めるようでうれしいです。ciottoli と pietori がいずれも「石」(複数形)のようですが、辞書がないので違いがわかりません。 チオットリは建築用材料で、聖書には「ペテロは岩」とあったと思うので、大小の違いなのでしょうか。

_ 玉青 ― 2013年12月09日 21時46分14秒

〇astrayさま

いい話ですねえ。
ぜひ若いうちに聞いておきたかった…
今となっては心の痛みなしに読むことができません。(泣き笑)

〇S.Uさま

や、これは素敵なご提案。それではこれは「銀河の礫の壜」と名付けましょう。
列車も2巡目とのことで、沿線の光景もだいぶおなじみになったことでしょうね。
「のだめ式」の要諦を是非ご教示いただければと思います。
(Google先生はciottoli をことさら「pebbles、cobbles」と英訳しているので、仰る通り「小石、玉砂利」のニュアンスかと想像します。)

_ S.U ― 2013年12月10日 07時26分13秒

Google先生の英訳は役に立ちますね。といっても、私は、英語になっても、ペブル・コブルは音感でじゃらじゃらと小さそうで、ストーンはストーンと落ちるくらいの大きさがあるのかと思うくらいです。

 ここで訂正をさせていただきます。石(岩?)の複数形はpietoriではなくpietreでした。サンピエトロと違って意外にも女性名詞でした... 「のだめ式」の要諦は2サイクル目が終わったらご紹介させていただきたいと思います。

 考えてみるに、日本語で、石、岩といっていますが、これの区別もよくついていないようで、庭石はけっこう大きいですし、山にあるのが岩かというと、山では手で持てるくらいでも岩で、大きいのを山から取ってくればも石材や石垣になります。出所・大きさではなく、ただ今、山にあれば岩、人界にあれば石ということなのでしょうか。

_ 玉青 ― 2013年12月10日 20時25分05秒

>ストーンはストーンと落ちる

あはは。
まあ、ドイツ語あたりだと「一個の石ころ」が時空の本質を洞察したり、大した働きをするそうですから、石一個といえど、なかなか軽んずることはできませんね。

>山にあるのが岩

岩が「山の石」なら、普通の石は「里の石」なんでしょうかね。今字書を見たら、石という字は崖の下にコロンとしたものが転がっている様を表すそうですから、まさにS.Uさんが言われるように、山の上にあるのが岩で、下に落ちてくると石になるという理屈なのでしょう。

_ S.U ― 2013年12月11日 07時32分18秒

>「石」と「岩」
 おぉ、漢字の字面の解析も役に立ちますね。

ドイツ語の「一個の石ころ」が出てきて思いだした雑学を一つ...あまり知られていないと思いますが、玉青さんがご存じでしたらお許しを。

 朝永振一郎氏と同時にノーベル物理学賞を受賞した学者にシュウィンガー(Julian Schwinger)という人がいます。ドイツ語では schwingen が、振り子などを「振らす」という動詞で(英語の swing に対応)、朝永氏の名前と同じ意味です(ただし、シュウィンガー氏はポーランド系アメリカ人だそうです)。さらに、彼らのノーベル賞受賞の理由は「場の量子論」についての決定的な業績ということになっていまして、それは平たく言えば、振り子のように振動する波で時空間を埋め尽くして素粒子の運動を計算するということです。

_ 玉青 ― 2013年12月11日 19時55分00秒

とても印象的な逸話ですね。
ひところ話題になった「シンクロニシティ」も、今ではすっかりオカルトの範疇に取り込まれてしまいましたが、しかし偶然の一致というには惜しい、何か必然を感じさせる現象の共起が時にありますね。まあ、単なる偶然の中にも、意味を見出したいのが人間の性なのかもしれませんが…

_ S.U ― 2013年12月12日 06時47分03秒

ご指摘の観点でいうと、この逸話は素粒子物理学者が見つけて喧伝しているところに価値があるのかもしれません。彼らは、

・「シンクロニシティ」などという統計的に実証されていないものは信じない
・意味のある情報を遠隔地まで伝搬できる媒体は、電磁気力と重力のみ
・「偶然」というのは量子力学でいう波束の収束のこと

と日頃から考えている傾向がありますから。

_ 玉青 ― 2013年12月12日 22時05分01秒

何だか頭がぼんやりします。(飲み過ぎ?)
偶然と必然。その区別は人間の心の中だけにあるのか、客観世界にしかと実在するのか、改めて考えるとなかなか難しいなあ…と思いました。世界の在りようは全て偶然のようでもあり、また必然のようでもあり。それは単なる言葉遊びのように思える反面、何だかとても大切なことのようでもあり。…まあ、暇であることだけは必然的に真実でしょう。(笑)

_ S.U ― 2013年12月13日 07時28分18秒

>偶然と必然
 よくわかりませんが、確かに、偶然と必然の区別は、実用的には人間の意思によるところが大きいように思います。客観世界では何らかの数的基準が作れるのでしょうが、現在の技術ではごく近似的で不正確な推定しか出来ないでしょうね。

 したがいまして、他人が「偶然とは恐ろしいものですなぁ」と言えば「待て待て、裏で何かが繫がっているかもしれない」と追求し、他人に「何でこんな結果になったんだ!」と攻撃されれば「偶然ですよ、偶然。」とかわすような態度で臨みたいものです。

 あるいは、他人に「酔っ払っていますね」と指摘されれば「なになに、まだシラフですよ」と居直り、また「真面目に話をしてください」となじられれば「酔うておりますので」と逃げるような気概で臨みたいものです。

_ 玉青 ― 2013年12月13日 21時23分59秒

いやあ、これは「のだめ式」の要諦以前に、人生の要諦をご教示いただいた思いです。
まこと悟達の人の言たるや融通無碍にして神韻縹渺たり。
私もかくの如く懐の深い態度を持して、日々を送りたいものと念じております。

_ S.U ― 2013年12月14日 08時28分04秒

>悟達の人~懐の深い態度
 (笑) いやいや、せいぜい「炬燵の人」となって懐深くまでもぐりこみたい程度です。めっきり寒くなりましたね...

_ 玉青 ― 2013年12月14日 16時44分21秒

(笑)さ、熱いのをひとつ。

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