四海波静かなれ2014年06月29日 08時21分54秒

本日2投目。
先ほど記事を書き終えて、朝食をとりながらおもむろに新聞を開きました。
すると、天声人語がいつにもましてストレートに胸に響いたので、例によってまた勝手に貼らせていただきます。(朝日新聞も怒りますまい。)


「暖室に酒呑みながら主戦論」(井上剣花坊)

前線でドイツ兵が言う。「おれたちはみんな貧乏人ばかりだ。フランスだって大がいの人間は労働者や職人や、さもなけりゃ下っぱの勤人だ。それにどうしてフランスの錠前屋や靴屋がおれたちに手向いしてくると思うかい」「そいつはみんな政府のやることだ」(レマルク『西部戦線異状なし』、秦豊吉訳)

これこそまさに100年経とうが、200年経とうが変わらぬ「不磨の真理」に違いありません。(何だか現政権は、戦争に送り込むために、わざと食い詰め者を作り出しているようにも見えます。)


モヤモヤを吐き出す追記】

「何でも政府が悪い」というと、「じゃあ国民には何の責任もないのか」という論を生みます。もちろんそんなことはなくて、そういう政府を戴いているのは、国民の選択の結果ですから、国民に責任がないわけはありません。

しかし、「だったら、あまり偉そうなことを言わずに、『お上』の言うことを聞いておけ」というのはまるで違います。あのナチスだって、民主主義が生んだ鬼っ子だったことを、よくよく考える必要があります。大切なのは、政府が悪いと思ったら、国民は遠慮なくものが言えること、そして政府もそれを聞く態度を保つことです。残念ながら、今はこの2つながらに侵食されています。

そして、「お上」というのは一部の利益集団に迎合し、往々にして良からぬことをたくらみ、最後に泣くのは民衆だというのは、地上に国家という制度が生まれて以来、ほぼ常に真理であり続けたので、たぶん今でも真理でしょう。処世の智慧として、我々はそれを胸ポケットに入れておいた方が良いと思います(これは国や政権党が変わっても一緒です。日本の自民党だから殊更ダメだと言っているわけではありません)。

世の中には性善説に立つ人も、性悪説に立つ人もいます。もし性善説に立つならば、国の外に向けて、他国の人々と信義を打ち立てるために動いてほしいし、もし性悪説に立つならば、国の内にもそれを向けて、力を持った人が良からぬことをするのを防止するよう動いてほしい。(たぶん両方必要なことだと思います。)

コメント

_ S.U ― 2014年06月29日 11時08分20秒

>西部戦線
 ドイツの兵隊の嘆きこそ「不磨の真理」であるということですね。

 第一次世界大戦の100周年式典があったという先日のニュースを思い出し、ベルギーのイーペルとフランスのヴェルダンについて調べてみました。最初から消耗戦を意図したのかどうかは議論が分かれるところのようですが、結局はそれを承知で戦闘を継続し、敵国を降伏させるためには大消耗戦もやむなしとみたということのようです。第二次世界大戦での大規模空襲も敵国民の消耗を意図したものでした。戦争が起これば総力戦→消耗戦になるのを克服する方策は現代まで見いだされていないようです。

>現政権
 総力戦を避けられる方策は、政府から国民に与えられていません。これは、どこの国の政府もそうなのでそういう方策は見つかっていないのでしょう。
 歴史上、日本が得意なのは電撃作戦や籠絡作戦で、消耗戦で結果を出したことはほぼ皆無のようです。それでも政府が戦争をするというなら、消耗さえ良しとする別の意図があるという可能性も考えねばならなくなります。

 歴史に学んで、変わるもの、変わらないことを読み取ることが大事だと思いました。

(追記について)
 モヤモヤが起こる原因のひとつは、政府と国民の立地するところめざすところが違うにも関わらず、それが同じであると喧伝されている点だと思います。これを会社に喩えるとわかりやすいと思います。会社の経営者とそこで働く労働者(今や非正規の人も多い)の立地するところ、めざすところは、どう考えても違いますよね。もしめざすところが同じなら双方有り難いですが、同じだと頭から前提にしてしまうと本質が見えなくなります。

_ 玉青 ― 2014年06月29日 19時42分28秒

消耗のうちに「人的資源」も含まれるのが辛いですね。
消耗させられる方はたまったものじゃありません。

それにしても、この間の現政権の動きを見ていると、「膏薬と理屈はどこにでも付く」という言葉を思い出します。

>経営者とそこで働く労働者

まこと今の為政者が国民を見る目は、非正規社員を「資材」と見なす経営者のそれかもしれません。本当は国民が株主なんですけれどもねぇ。。。

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