アルビレオ出版社の快挙(1)2014年11月05日 07時07分03秒

アルビレオ出版は、ドイツのケルンにある、小さな個人出版社です。
設立は2013年、すなわち昨年出来たばかりの若い会社ですが、間もなく還暦を迎えるカール=ペーター・ユリウス社長の本職は、なぜか弁護士さん。で、出版事業は何となく余技のようでもあります。


Albireo Verlag 公式サイト: http://albireo-verlag.org/Albireo-Verlag/Willkommen_1.html

そのユリウス氏が出版社を立ち上げてまで執念を燃やしているのが、古星図アトラスの復刻事業で、現在そのラインナップは2冊。

1冊は、ゴールドバッハフォン・ツァハ男爵が生み出した漆黒の『最新星図帳』(1799)。(Christian Friedrich Goldbach & Baron Frantz Xaver von Zach,
Neuster Himmels-Atlas, Weimar, 1799)

そしてもう1冊は、今秋出たばかりのドッペルマイヤーの華麗な『天界図譜』(1742)です。(Johann Gabriel Doppelmayr, Atlas Coelestis, Nürnberg, 1742)

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そもそもの出発点が趣味に発しているせいか、ユリウス氏は、採算をハナから度外視しているように見受けられます。少部数限定の完全復刻版であることを考えると、この2冊はいずれも至極廉価で、ゴールドバッハは119ユーロ、ドッペルマイヤーは198ユーロと、円安の今でも3万円を切る値段です。これで儲けが出るかは一寸疑わしい。(さらに言うと、ゴールドバッハについては注文と同時に、すなわち金を払う前に本を送ってくれました。嬉しかったですが、余所ながら心配になりました。)

そして、その復刻にかける情熱たるや、既に尋常ならざる域に達していると思えるので、奇人伝的視点から、この本の細部に目を向けてみます。

(この項つづく)