雑感2007年08月01日 06時08分08秒

(第1回でとりあげたE.ダンキン『真夜中の空』より。8月深夜のロンドンの空)

今日からいよいよ8月です。
改めまして暑中お見舞い申し上げます。

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さて、このブログもスタートしてはや1年半が経過しました。つまり3年の半分ですね。
3年間、1000日。この数字が途中から何となく意識に上って、時として己が比叡山最大の荒行・千日回峰を修しているような気分になることがあります。

その修行者は、千日の間たゆむことなく決められたコースを回峰巡拝し(総距離は地球1周分に達するそうです)、さらに最後の9日間は、堂に籠もって食と水を断ち、不眠不休で経を唱え、仏を念ずるという、まあ無茶苦茶な修行なのですが、実際この「堂入り」の後半になると、生きながらにして行者の身体から死臭が漂ってくるといいます。

だらだらゆるゆるしたブログを書くのに、何もそこまでまなじりを決する必要もないわけですが、時として己を鼓舞しないと「続ける」という作業はなかなか大変ですね。

私がよく拝見するブログやサイトは、千日をはるかに超えて更新され続けているものも多く、心底賛嘆の念を覚えます。まさにネット界の「阿闍梨〔あじゃり〕」ですね(堂入りを無事終えた行者をこう尊称するそうです)。


※なお、本来の千日回峰は3年間ぶっ続けではなく、7年間に割り振って千日の修行をするそうなので、もうちょっとペースを緩めてもいいのかもしれませんが、でも自分の怠惰な性分からすると、毎日書かないと結局続かないような気がします。

さらに雑感2007年08月02日 20時13分43秒


今日もダラーンとした雑文です。

Googleに画像検索機能がありますが(Google画面の最上段にある「画像」をクリック)、ふと思いついて「天文古玩」と入力して検索してみました。すると自分でも忘れていたような昔の画像がずらずらと(上図)。しかも並び順がまったく時系列を無視したランダムな配列で、その不思議な取り合わせが我ながら面白かったです。

ある人の説によると、ブログの1年はヒトの人生の20年に相当するそうです(ブログの世界では20倍の速度で時間が流れている)。わずか1年前の記事でも懐かしく感じるのは、その辺の特異な時間感覚によるのでしょう。

ときに、私が使っているこのアサブロ(ASAHIネットのブログ)は、機能の劣弱さで有名で、これまでだいぶユーザーの流出もあったようですが、最近になってようやく機能強化に本腰を入れ出したようです。8月から設定可能なカテゴリ数が大幅に増え、この点は前から不満に思っていたので、ちょっと嬉しいニュースでした。「解剖」「掛図」「野尻抱影」など、前から項目立てしたかった名詞を新たにカテゴリに加えました。これから過去の記事を少しずつ分類し直していく予定です。

(ダラダラは今日で終わり。明日から通常の記事に戻します。)

■付記
あれ、よく見たら登録したはずの「解剖」と「抱影」がない。設定画面では確かに表示されるのですが。まだバグがあるようです。そのうち修正されるかな…?

ジョン・ハーシェルの蔵書?2007年08月03日 22時17分48秒

↑Sir John Herschel (1792-1871)、晩年の写真。


さて記事を、と思ったのですが、今日は日本ハーシェル協会のHPのメンテナンスと、協会掲示板への投稿でちょっと疲弊しました。

で、その投稿記事というのが、「ジョン・ハーシェルの本とスタンプ」というタイトルで、いささか渋い内容ではあるのですが、天文古書関連の話題という点では、このブログと無縁でもありませんので、とりあえず記事代わりにご紹介しておきます。

■協会HP http://www.ne.jp/asahi/mononoke/ttnd/herschel/

■協会掲示板 http://6615.teacup.com/hsj/bbs

(投稿後にまた新しい情報が入ったので、明日も投稿する予定です。相変わらず他人の褌ばかりとは思えども…。)

惑星のマッチラベル2007年08月04日 21時09分25秒

どうも蒸すなあ…と思ったら、先刻から遠雷が聞こえてきました。
そんなわけで、今日もすずしげな品を載せておきます。

写真は惑星のマッチラベル。青・白・緑の取り合わせが目に爽やか。
時代は不明ですが、冥王星があるので当然1930年以降のものです。
“lucifers voor rokers”と小さく書かれているのが、ブランド名でしょうか。ポルトガルの人から買いましたが、“voor”というのはオランダ語っぽいですね。

よく見ると土星だけ惑星記号ではなく、見たままの姿で描かれています。(土星の記号は、ひらがなの「ち」に似た形で、これは数字の5の図案化だそうです。同じく木星は「4」が元だとか。)確かに絵になる惑星ではありますが、それにしてもなぜ土星だけ形にこだわったのか、そこがちょっと謎めいています。

シュッとこすると、闇夜にポッと惑星が浮かび、一呼吸おいて紫煙がゆらり…というようなシーンを思い浮かべます。

本の整理2007年08月05日 23時01分37秒

また一日中部屋の片付けをしていて、ぐったりです。

こんなにしょっちゅう片付けをしないといけないのは、部屋のキャパシティが限界に達していて、何か少しでも新しいものが来ると、それを置くためのスペースを作るのに、異様な努力が必要だからです。

不要な本や資料を処分して、どうにかこうにか新しいスペースの目処が付きましたが、まだ部屋の中は乱雑を極めています。

こんなことが、この先ずっと続くのかと思うと、ちょっと暗澹たる気持ちになります。そして、片付ける気力も体力もなくなったら、一気にゴミ屋敷化するのでしょう。

そんなわけで、記事はお休みです。

パロマーもの…200インチ望遠鏡2007年08月06日 23時27分21秒


今帰宅しました。今日は簡単に。

 ☆    ☆    ☆

この前(7月30日)の記事に、パロマー望遠鏡の32分の1模型が登場しました。ああいうのを見ると、すぐに物欲の虫がうずき出します。遠い少年の日のヒーロー、200インチの巨人望遠鏡。その似姿を手元に置くのだ…と考えただけで、そのイメージに抗えなくなってしまいます。

で、ようやく見つけたのが上の品。スケールも、迫力も、先日の記事ほどのものは望むべくもありませんが、それでも「あるといいな…」と思って探したら、「やっぱりあった!」というのは、実にうれしい経験ですね(まことに他愛ない話ですが)。

 ☆    ☆    ☆

今日はとりあえず外観のみ。詳細はまた明日載せます。
(台座が何か埃っぽく見えますが、これは石製台座のマーブル模様です。)

パロマーもの…200インチ望遠鏡(その2)2007年08月07日 20時34分53秒

(↑左後方より。鏡筒のトラス構造がよく分ります)

だいぶ前に、アルヴァン・クラーク製望遠鏡のミニチュアを取り上げたことがありますが(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/08/28/502293)、このパロマーの模型も同じく b.crist miniatures 社の製品です。

★b.christ http://www.rocklandastronomy.com/neaf/bcrist.html

台座のサイズは12.5 x 7.5 cm、縮尺は200分の1なので、主鏡径がちょうど1インチになるように作られています。鏡筒部は可動です。

一見プラモデルのようにも見えますが、黒色大理石の上に乗った本体は木製、いわゆるソリッドモデルです。塗装のむらが目立ち、気泡がぽつぽつ入っているのが、いかにもハンドメイドな雰囲気を漂わせています。仰山らしくエディション・ナンバーが鉛筆書きされているのはご愛嬌でしょう。

この模型は、同社に直接注文するか、またはパロマー山のギフトショップで買えるそうですが、私はパロマーで買ったという人から購入しました。

パロマーもの…200インチ望遠鏡(その3)2007年08月07日 20時37分54秒


鏡筒を立てたところ。

前の写真は、天の北極を観測するとき、こちらは天の赤道付近を観測するときの体勢です。

パロマーもの…200インチ望遠鏡(その4)2007年08月08日 05時39分28秒

(↑正面のアップ)

以下、パロマー余話です。

この独特の馬蹄形(ホースシュー)架台は、構造上の堅牢さと、鏡筒をどの方向にも向けられるようにするという、両立困難な目標を同時に達成するため、多くの試行錯誤の末に生み出されました。(先行するウィルソン山の100インチ望遠鏡(※)では、古典的な「ヨーク式架台」を採用したため、十分な剛性が得られた代わりに、天の北極方向に死角が生まれるという弱点がありました。)

そのデザインを洗練する上で、一人の老人の描いた図面が大いに役立ったという話が、下の本に書かれています。

その老人は、架台の設計がまだ定まらないある日、設計責任者のもとをふらりと訪れたのですが、彼はその100年前にアイルランドで作られたもう一つの巨人望遠鏡、すなわちロス卿の72インチ望遠鏡(※※)を建造した機械工の孫だった…というのが、何か因縁めいた、望遠鏡史を彩る興味深いエピソードの1つだろうと思います。

70歳をとうに過ぎたその小柄な老人は、十分な科学的知識こそなかったものの、なかなかのアイデアマンで、その後研究所をたびたび訪れては目新しいアイデアを披露して、スタッフを喜ばせたそうです。

※  http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/06/07/395741
※※ http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/03/25/302951

■参考: D.O.ウッドベリー著『パロマーの巨人望遠鏡・下』(岩波文庫)