『ウラニアの鏡』2007年12月08日 20時40分16秒

(復刻版 『ウラニアの鏡』)

『星の小箱 THE BOX OF STARS』 として紹介した、原題を 『ウラニアの鏡 URANIA’S MIRROR』 というこのカード集は、私の知る限りこれまで2回復刻されています。

1つが 『星の小箱』 で、もう1つが 『ウラニアの鏡』 という原題のまま、よりオリジナルに近い形で2004年に復刻されたものです(Barnes & Noble Books 刊)。カード自体は似たり寄ったりですが、後者の方は原版の古色をそのまま印刷していて、暗い感じの色調になっています。さらに、原著(1832年のアメリカ版初版)に附属したブックレットもそのまま復刻しているので、(Xmasプレゼントとしてはともかく)資料的価値はこちらの方が高いと思います。

その表紙を転記しておきます。

★URANIA’S MIRROR, or A VIEW OF THE HEAVENS;
 Consisting of Thirty-two Cards,
 on which are Represented all the Constellations
 Visible in Great Britain;
 On a Plan Perfectly Original.
 Designed by A Lady.
 (A Facsimile Edition of the First American Edition of
 URANIA’S MIRROR, 1832)

ウラニアというのはギリシア神話に出てくる天空の女神。そして、この出版を企画したのも 「さる妙齢の婦人」 だということで、これは対象読者が(主に富裕な)婦人層であったことを暗示しています。

で、この 「さる婦人」 とはいったい誰なのか?
これが長いこと謎だったのですが、1994年に英国王立天文学会(RAS)の司書、ピーター・ヒングレイ氏がその謎解きに成功しました。それによると、「婦人」 というのは全くの作り事で、後にRAS会員になったリチャード・ラウズ・ブロクサム師(博士)がその著者であり、これは師がRAS会員に推挙されたされた際の選出証書に明記されているそうです。

当時から、出版界はいろいろ話題性をあおるために知恵を絞っていたわけです。

(典拠は 『ビクトリア時代のアマチュア天文家』 276頁。なお、この事実はいずれの復刻版の解説でも触れられていません。)

コメント

_ koko ― 2007年12月11日 09時27分47秒

「ウラニアの鏡」・・歌詩のタイトルになりそうです。
早く手に取りたくてワクワクしております。

_ れいこ ― 2007年12月11日 12時05分54秒

原版の古色が活きている雰囲気が良いですね。でも、下のエントリーにあった青く光るアルデバランは息をのむような美しさです。私は残念ながらクレジットカードを持っていないので、アマゾンのマーケットプレイスは使えませんでした。なので、日本語版が出てくれないかなあ…と願っています。

_ 玉青 ― 2007年12月11日 20時57分39秒

>kokoさま

もし、ここから曲想を得られて、素敵な音楽が生まれたら素晴らしいですね!「ウラニアの鏡」、いつか聴いてみたいです。(ポチッとする前に、各種情報をお届けできると良かったのですが…)

>れいこさま

「青く光るアルデバラン」というのは、文字通りこの世ならぬ眺めで、私も後から画像を見てハッとしました。 子供たちが気軽に楽しめるように、日本語版が出るといいなあと、私も心底願っています。

_ koko ― 2007年12月22日 01時52分41秒

届きましたー!!
何度も眺めています。うっとり。
明日は郡山市のプラネタリウムでコンサートなので、
早く寝なくちゃいけないのですが・・うっとり。

_ 玉青 ― 2007年12月22日 19時15分39秒

クリスマスに間に合いましたね!

プラネタリウムでの素敵なコンサートが、今年の歌い納めだとか。当地では今日は1日冷たい雨降りでしたが、遠方よりコンサートのご成功と、満天の星空に恵まれますことをお祈りしています。

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