ジョバンニが見た世界…美しい銀河の写真(1) ― 2012年12月12日 22時26分35秒
そうだ僕は知っていたのだ、勿論カムパネルラも知っている、
それはいつかカムパネルラのお父さんの博士のうちで
カムパネルラといっしょに読んだ雑誌のなかにあったのだ。
それどこでなくカムパネルラは、その雑誌を読むと、
すぐお父さんの書斎から巨きな本をもってきて、
ぎんがというところをひろげ、
まっ黒な頁いっぱいに白い点々のある美しい写真を
二人でいつまでも見たのでした。 (「一、午后の授業」より)
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この話題についても、既に3年前に一通りのことを書きました。
(以下の記事の前後を参照)
そこでは、天体写真をふんだんに収めた、一般向けのヴィジュアルな天文学書が1920年代に立て続けに出版された事実に触れ、その具体例を見ながら、カンパネルラのお父さんの書斎にあった本を想像してみました。
一応、話題としてはそれで完結したのですが、その一方で、「銀河鉄道の夜」の作品世界を、現実の世界に当てはめると、1912年頃ではないかという話題がありました。
過去記事の引用ばかりで恐縮ですが、以下がそれです。
今回は、そのずれを埋め、1912年当時の「美しい」銀河の写真とはどんなものか?という点に、こだわってみたいと思います。
果たして、それはどれぐらい「美しい」ものであったのか?
★
残念ながら1912年ちょっきりではありませんが、1913年に出た1冊の銀河の写真集があります。この写真集を見ると、ジョバンニが目にした美しい銀河の光景も、想像がつくように思うので、そのことを書きます。
(この項つづく)
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