宇宙を眺める…カテゴリー縦覧:星雲・星団・系外銀河編2015年04月03日 21時29分17秒



黒い化粧箱に収まったガラスブロック。


ブロック本体は 6.5×8.5×6.5 cm の直方体で、豆腐半丁ぐらいの大きさです。
透明なガラスの中に見える、白い綿くずのようなものは、レーザー加工による造形で、拡大すれば、微小な点の集合体から成ることが分かります。


1つ1つの点が、独立した銀河系、昔風にいえば島宇宙。
このガラス塊が表現しているのは、差し渡しが1億パーセク=3億2,600万光年という巨大な空間です。宇宙全体から見れば、ごく局所的な領域に過ぎないとはいえ、それでもこれだけカメラを引けば、宇宙の大規模構造が見えてきます。


ひときわ銀河系が密集した「おとめ座銀河団」。


そこから紐状に銀河が連なり(我々の銀河系もそこに含まれます)、周辺の銀河群・銀河団と結びつき、1つ上位の階層である「おとめ座銀河団」を形成しています。
このガラスブロックが表現しているのは、この「おとめ座超銀河団」が、お隣の超銀河団と境を接する辺りぐらいまでの宇宙の有様です。

(そして、さらにカメラを引けば、おとめ座超銀河団は、他の超銀河団と共に面状に分布して、グレートウォール(銀河フィラメント)を構成し、それが広大な虚無の空間(ボイド)を包み込んで、泡状の構造体を作っているのが見えてくる…と考えられています。これが宇宙の大規模構造で、我々が知り得る宇宙は、そうした泡の集合体でできていると、天文学者は語っています。)

   ★

…と、ここまでは何となく分かります。

「大きな望遠鏡で宇宙をよっく調べると宇宙は大体何でせう?」
ジョバンニの担任の先生なら、子供たちにそんな問いかけをしたでしょうが、実際に大きな望遠鏡で無数の銀河系を観測して、その位置をプロットしたら、こんなふうに並んでいることが分かった…というだけならば、「まあ、そういうものなんだね」で話は終わりです。

「では、その成因は?」となると、一段も二段も難しい話になりますが、それでも学者はいろいろな説を立てて、それを理解しようと、今も懸命に努力を続けていることでしょう。

いっそう基本的なことで、私がよく分からないのは、こうしたモデルに「時間」がどう織り込まれているかです。つまり、こういうものをパッと見せられると、私なんかは「今の宇宙」の空間構造を、神の視点から眺めたものと、ついつい思ってしまうんですが、でも本当は、そこには空間のみならず、「時間構造」も織り込まれているはずです。

このガラス模型で「今の宇宙」と言えるのは、我々の銀河系が位置するキューブの中心付近のみで、そこから遠ざかれば遠ざかるほど「昔の宇宙」になり、キューブの端っこにあるのは、1億5千万年とか2億年前の姿です。さらに大規模な構造については、当然もっと時間尺度は大きくなります。「今この瞬間」に、何億光年か先の宇宙がどうなっているかは、それこそ神のみぞ知るです。

そういう重層的な時間から成る観測結果をもとに組み立てた宇宙モデルとは、結局のところ何を表わしているのか? 宇宙スケールでものを考えるには、「今」という概念の方を変えないといけないのかもしれませんが、私はその辺で、すぐに頭がごちゃごちゃになってしまいます。

   ★

話を地上に戻して、製品情報について。

この宇宙モデルは、カリフォルニアのBathsheba Sculpture の製品です。
同社は以前から「モノのかたち」にこだわっていて、数学的、科学的、あるいは純粋に審美的見地から、興味深い作品の数々を生み出してきました。

Bathsheba Sculpture https://www.bathsheba.com/

この超銀河団のガラス模型は、今から8年前に購入したものですが、先ほど確認したら、現在は廃番のようです。何といっても進歩の速い学問分野ですから、元データがすでに古くなってしまったせいかもしれません。となると、ここには早くも歴史的価値が備わっていると言えなくもなく、21世紀もなかなか時間構造に富んできたなあ…と感慨深いものがあります。


コメント

_ S.U ― 2015年04月04日 07時13分26秒

おぉ、これぞ、現代の(といっても8年前ですか)ジョバンニの教室の銀河模型ですね。スケールはワンランク違いますけど。

 このフィラメント構造は、宇宙初期に重い素粒子が作られはじめた時の密度の揺らぎが成長して今はこうなっているのだ、というふうに自信たっぷりの説明を聞かされるのですが、とても不思議に思います。
 宇宙最大の突拍子もない構造が宇宙初期の細かい話で説明がついてしまうとは、日常生活で説明のつかないことにいくらでも出くわすのに皮肉なもんじゃないですか。

_ 玉青 ― 2015年04月04日 11時30分36秒

「超銀河鉄道の夜」!

星まつりの宵。
超銀河団を越え、グレートウォールに沿ってひた走る汽車。
茫漠と広がるダークマターの海。
生と死をめぐる神秘的断章。
少年の脳裏にきざす、この世界の真理―。

これは素敵ですね!
ぜひノベライズ(ないしビジュアライズ)してほしいです。

>日常生活で説明のつかないことにいくらでも出くわすのに

あは、本当ですね。
でも本当は説明がつくとか?
いや、「説明のつかない」ところに、むしろ深い意味があるとか?

ジョバンニはそんなことをぼんやり考えているうちに、ふと気づいたらゴトゴト走る汽車に乗っていた…というのはどうでしょう。

_ S.U ― 2015年04月04日 18時23分30秒

>「超銀河鉄道の夜」!
 普通に考えると、スケールが大きすぎて、もうあまりロマンも感じられないように思いますが、ストーリーの立て方によってはうまくいくでしょうか。とにかく、いちど執筆してみて下さい。

 銀河系内なら何とか情緒が感じられますが、その外に出るとどうでしょうね???

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