名古屋星めぐり(その2)2020年11月24日 06時19分35秒



昨日の浄昇寺から南に10分ぐらい歩くと、「八事山興正寺(やごとさんこうしょうじ)」という大きなお寺があります。



尾張徳川家の祈願所として、「尾張高野」とも呼ばれた真言宗別格本山で、境内には江戸時代に建立された五重塔がそびえる、なかなか立派なお寺です。(ひところ寺の経営をめぐって内紛があり、新聞紙上をにぎわしましたが、今は正常化しました。)

(興正寺公式サイト https://www.koushoji.or.jp/

   ★

その本堂の隅に、一体の仏像が祀られています。


しかし、これまた仏像といっていいのか、神像といっていいのか、でもルーツを考えれば、道教系の神様でしょう。

(本堂の正面向かって右手の厨子に安置されています。)

それは寿老人です。興正寺の寿老人は、「名古屋七福神」の一つになっているので、福を求める人々になかなか人気があります。

妙見が北極星の神格化なのに対して、寿老人は南極星の神格化です。
もちろん、日本や中国からだと、天の南極は地平線下にあって見えませんけれど、南の地平線近くに輝くカノープス(りゅうこつ座アルファ星)を南極星に見立てて、これを古来「南極老人星」と称しました。

北極星も、南極星も、人の運命を司る存在という基本的な性格は同じです。
でも、北極星には「死」、南極星には「生(長寿)」のイメージが投影されたことで、寿老人は、妙に福々しい存在となりました。

(大日如来や弘法大師が祀られた本堂)

そして興正寺は真言宗の寺ですから、真言の儀軌にしたがって、毎年2月に星祭り(星祭御札祈祷会)が行われます。

(興正寺発行のフリーペーパー「八事山文庫」、2020冬号より)

北に北極あれば、南に南極あり。
名古屋のこの狭いエリアで、天の南北両極が対峙し、星に祈りを込める人々の強い磁場が形成されているのは、なかなか見事な眺めです。

(この項さらに続きます)

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