黒い本… 『全宇宙誌』 ― 2006年12月18日 06時25分01秒
『全宇宙誌』
松岡正剛他 (編集・構成)、杉浦康平 (アートディレクション)
工作舎、1979年初版 (家蔵本は1980年第3刷)
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昨日の記事を書いていて、「ぜんうちゅうし 全宇宙史」とキーを叩いた瞬間、この本が脳裏をかすめました。
内容については出版社のサイト↓にあるとおりです。一番下の「復刊リクエスト」をクリックすると、そこにも熱いメッセージの数々が書き込まれています。
http://www.kousakusha.co.jp/BOOK/cosmo.html
「空前の“星書”」というキャッチコピーの通り、古今東西の宇宙論がみっちり詰め込まれた濃厚な本。
…といいつつ、私自身はこの本を通読していません。その内容よりも、《松岡+杉浦コンビ》による、黒々とした造本の妙に惹かれて購入したというのが実情。(そういう人は意外に多いかもしれませんね。純粋に読み物として見た場合、黒地に小さな白い活字は、目で追うのが一寸しんどいです。)
上の写真は、斉田博氏の筆になる「少年のための天文学」という章を撮りましたが、全篇この調子で、最初から最後まで本当に真っ黒です。
謎めいた暗黒を背景に、人間の「知の遺産」が白く儚げに刻まれている…そんな風にも見えます。
向かって左の小口(背表紙に対向する面)に白い模様が見えていますが、これぞ伝説のブックアート、「小口に浮かび上がるアンドロメダ星雲」の一部です。この小口絵は見る角度によって、ときにアンドロメダ星雲となり、ときに星座図となります。
(詳細はこちら http://www.eel.co.jp/03_wear/02_selfread/Yu_2/main03.html)
小口絵自体は西洋古書に伝統的な技法ですが、それを印刷で実現したところが驚き。黒ベタに白抜きの文字をきれいに出す技術と並んで、まさに20世紀の職人芸。しかし、それがこの本の復刊を困難にしている大きな理由でもあるそうです。
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