彗星亭のマッチラベル ― 2022年10月21日 07時34分49秒
彗星ビール ― 2022年10月22日 19時15分37秒
2023年の空に向かって ― 2022年10月23日 12時38分18秒
静かな街に ささやきながら 降りて来る 妖精たちよ
誰かやさしくわたしの肩を抱いてくれたら
どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそう
遠い呼び声 ― 2022年10月24日 21時02分45秒
記憶の果てに ― 2022年10月26日 06時50分53秒
秩父・こぐま座α @cogumazaa にて
11/11(金)~11/21(月)の金土日月曜のみ営業 11~17時 ※ワンオーダー制
画像のような新作のほか、人形作家の近未来さん @pygmalion39 のギャラリーカフェにちなんで、人形作品を入れて遊べるジオラマ作品もお持ちします。
いつでもお立ち寄りください。そして気軽にお声がけいただければ嬉しいです。
星図収集、新たなる先達との出会い ― 2022年10月29日 08時22分55秒
『Celestial Atlases: A Guide for Colectors and a Survey for Historians』
(星図アトラス―コレクターのための収集案内と歴史家のための概観)
lulu.com(印刷・販売)、2022
死者はどこからやって来るのか? ― 2022年10月30日 11時57分56秒
夜通し円舞し うたいさざめけど
ひとたび曙光がほのめけば
みなうたかたの如く消え失せぬ
★
(元記事 http://mononoke.asablo.jp/blog/2017/02/05/8351402)
ハロウィンは秋と冬の節目の行事で、この日は死者がよみがえり、家族の元を訪ねてくるので、それを饗応しないといけない…というのは、日本のお盆とまったく同じですね。
でも、よく「死んだらお星さまになる」とも言います。
言い換えれば、毎晩見上げる星空は、そのまま亡者の群れであり、我々は毎晩死者に見下ろされながら、晩餐したり、眠ったりしていることになります。この説にしたがえば、死者が身の回りを跳梁するのは、何もお盆やハロウィンに限らないわけです。
まあ、毎日これだけ多くの人が亡くなっていると、空もすぐ星でいっぱいになりそうなものですが、そこはうまくしたもので、流れ星も夜ごとに降ってくるし、あれは死者の世界から地上に生まれ変わる人の姿なんだ…というのは、パッとは出てきませんが、きっとそういう伝承が各地にあることでしょう。
それでプラマイゼロ、空の星も地上の人口も、数の均衡が保たれる理屈です。
でも、産業革命以降、世界人口は爆発的な増加傾向にあり、どうも空の星のほうが払底しそうな勢いです。現に空に見える星の数が、文明の進展とともに目に見えて減っているのは、周知のとおりです。
★
…というような軽口で終わろうかと思いましたが、ふと「死んだらお星さまになる」の由来が気になりました。
パッと検索すると、「人間は死んだら星になるって本当ですか?」という疑問は、日本でもアメリカでも繰り返し質問サイトに寄せられており、この件に関する人々の関心は非常に高いようです。
(質問サイトQUORAより。 右側の「関連する質問」にも注目)
中には「そのとおり。人間を構成する物質は星から生まれ、そして死ねば星に還るのだ」というような、すこぶる“科学的”な回答もありましたが、この伝承の起源そのものはよく分かりませんでした。
「星になった人」というフォークロアは世界中にあって、身近なところでは牽牛(彦星)もそうですし、出雲晶子さんの『星の文化史事典』を開くと、「星になった兄弟」(タヒチ)、とか、「星になった椰子取り」(パラオ)とか、「星の少年」(カナダ)とか、いろいろ出てきます。西南政争で横死した西郷隆盛が星になったという、「西郷星」の逸話なんかも、その末流でしょう。昔の人の心の内では、地上と天上は意外なほど近く、往還可能なものだったことがうかがえます。
★
ネット上を徘徊していて、この件でキケロの名前を挙げている人がいました。
A ギリシャ神話じゃないですか?亡骸を星に変えた、星になった事でずっと一緒にいられる、功績を称えられ星座としてのこされた……などなど。あと、そういう感じの思想を説いた(?)人物なら、ローマの政治家だったキケロとか。
(小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A スレッド名「死んだら星になる」)

(キケロの胸像。カピトリーノ美術館蔵。©Glauco92)
キケロ(Marcus Tullius Cicero、BC106-43)は古代ローマの文人政治家です。
ここでキケロを手がかりに更に追っていくと、どうも彼の「スキピオの夢(Somnium Scipionis)」に、その記述があるようでした。
スキピオ(小スキピオ)は、キケロよりもさらに前代のローマの執政官で、キケロからすると祖父または曽祖父の世代にあたる人です。そのスキピオが見た夢に仮託して、宇宙の成り立ちについて説いたのが「スキピオの夢」で、彼の主著『国家論』のエピローグとして書かれました。
「スキピオの夢」については、その訳文と解説が以下にあります。
■池田英三「スキピオの夢」研究、北海道大学人文科学論集、2巻、pp.1-32.
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/34270/1/2_PL1-32.pdf
スキピオは、夢の中で尊敬する祖父スキピオ(大スキピオ)と対話し、いろいろな教えを受けます。大スキピオは小スキピオの問い――すでに亡くなった人々も、実は生きているのですか?――に答えて、「いかにもこの人々は生きているのだ。彼等はあたかも牢獄から釈放される如くに、肉体の束縛から飛び去ったのであって、お前達の所謂生とは本当は死に外ならないのだ」と言います。生とは肉体の牢獄に捕縛された「魂の死」であり、死んでそこから解放されることこそ「魂の生」なのだ…というわけです。
大スキピオの言葉はさらに続きます。
我々の魂のふるさと、そして死後に還るところは、「お前たちが星座とか星辰とか呼んでいるあの永久の火焔」であり、死者の集いに参加するための道が、「(星辰の)火焔の中でもとりわけ光彩陸離たる円環」であり、ギリシャ人が「乳白の圏」と呼んだ天の川なのだと。
★
とはいっても、これはキケロの創案ではなく、当時広く行きわたっていた観念に、彼が文飾を施したものだろうとは容易に想像がつきます。したがって、「死んだらお星さまになる」という観念の真の淵源は依然はっきりしないのですが、これはたぶん一人の人に帰せられるような単純なものでもないのでしょう。
とはいえ、キケロの時代には既にこうした考えがあったことはこれで分かります。またキケロは中世以降のヨーロッパで大変な知的権威でしたから、「キケロ曰く」と引用されることで、この観念が広まる上で大いに力があったろうことも確かだと思います。
【メモ:関連記事】
■スターチャイルド
http://mononoke.asablo.jp/blog/2018/07/02/8907960
■スターチャイルド(2)
最近のコメント