A. ギユマン 『彗星』2007年06月01日 21時59分32秒

★Guillemin, Amedee 著
 LES COMETES
 470pp, 17 x 27cm, Hachete, Paris, 1875
 総シャグラン装、別刷り図版11葉+本文挿絵78点

シャグラン装というのは、サメ肌状に表面をざらざらに加工した革(山羊やロバ)を用いた装丁で、鹿島茂氏によれば、装丁の格からいうと決して上等なものではないそうですが、一見すると「洋古書」のイメージにぴったりくる重厚な趣。

で、私の中では、こうした「舶来」の匂いが、彗星のイメージと何となく結びついているのです。

彗星は洋の東西を問わず、凶兆と考えられてきた時代が長かったはずですが、颯爽と尾を曳いて天翔ける「カッコいいもの」というイメージは、一体いつごろ生まれたのでしょうか…?

こういう問いになると、従来の天文学史はお手上げで、「天文趣味史」の出番ではないかと思います。(が、私にも確たる答があるわけではありません。たぶん「コメット・ハンター」と呼ばれる天文家の出現と、相前後するのではないかと思いますが…。)

  ★彡  ★彡  ★彡

さて、本の内容の方はまた明日。

コメント

_ ハイパチ ― 2007年06月02日 00時47分23秒

彗星に対しての地上に住む人々のおののき、
自分たちの周りをまわっている(?)星たちとは、
違って、確実に自分たちの方に近づいてくることを
昔の人たちは、感じ取ったのではないでしょうか?
それは、恐怖であり、恐れおののきであったと
思います。自分たちの世界に影響を与えないと
分析できるようになった時期、コメットハンターの
出現時期、彗星の軌道計算ができるようになった時期、
彗星を楽しめるようになった時期が、一致するのでは
ないかと思います?
3年前、オーストラリアに、2つの彗星を眺めに、
出かけました。私たちの世界に、影響を与えないことが
解っているから、オーストラリアまで、出かけたのかも
知れません。

_ 玉青 ― 2007年06月02日 20時57分34秒

いいですねえ、オーストラリアで彗星ウォッチング。2004年というと、リニア彗星とニート彗星ですね。彗星以外にも、南天の降るような星空を満喫されたことでしょう。

彗星に限らず、「カッコいい存在」というのは、近すぎず、遠すぎず、程よい距離感の感じられることが重要なのだな、と気づきました。

正体不明のときには恐怖が先立つ一方、最近のように、「彗星の正体は汚れた雪だるま」みたいな言説があまりに一般化すると、その魅力もちょっと薄れる感があります。

男女の仲も一緒ですかね。

_ ハイパチ ― 2007年06月02日 22時36分29秒

最後の一言に、笑ってしまいました。
今日の朝の家内の一言に、さっきまで、しょげていたのですが、
オーストラリアには、二人で、行ったのでした。
楽しい旅でした。思い出しました。
見て見ぬふりも、お互いに、必要かも知れません。

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