妄想酒舗、ウラニア ― 2010年08月23日 23時16分11秒
「天文バー」のイメージをうまく表すものがないかな?と、本棚をゴソゴソしたのですが、なかなかありそうでないですね。
まあ、足穂とその影響を受けたアーティストの作品には、酒場のシーンがしばしば出てきますけれど、いつも“足穂だのみ”というのも気が引けるので、今回は別の方向から探してみたいと思います。
そんな中、ちょっと変わった建物をウィーンに発見しました。
てっぺんに天文ドームを乗せ、側面は船形の優美な曲面を描く不思議なビル。
その名を「ウラニア」といいます。(↓は1930年頃?の絵葉書)
全体は天文バーというよりは、天文キャバレー(日本のそれではなく、ナイトクラブや歌舞演劇場の類)といった風情ですが、どうでしょう、このビルのどこかにひっそりと天文バーがありそうな気がしませんか? 現実の星見派はドーム下に陣取って、また想念の宇宙派は地階の奥に籠って、それぞれウラニア神に向って酒杯をあげている…のだとしたら、素敵ではありませんか。
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さて、妄想はこれぐらいにして、天体観測にはおよそ不向きなウィーンの繁華街に立つ、この建物の正体は何でしょうか。
現実の「ウラニア」は、天文バーでも天文キャバレーでもなくて、残念ながら(?)天文をテーマにした真面目な教育施設です。以下、英語版Wikipediaから適当訳(http://en.wikipedia.org/wiki/Urania_(Vienna) )。
「ウラニアは、ウィーンにある公共教育施設ならびに天文台である。
同館は、アール・ヌーヴォーの建築家、マックス・ファビアーニ(=オットー・ワーグナーの弟子)の設計に基づきウィーン川の河口に建てられ、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世により、公共天文台を備えた教育センターとして1910年にオープンした。その名称は天文学を象徴する女神ウラニアに由来する。
第2次大戦中に、ウラニアは大きな損傷を受け、ドームは天文台もろとも完全に破壊されてしまったが、その後修復を経て、1957年に再開された。天文台部分については、これまで長年にわたって設備面の改良が続けられている。
現在、ウラニアの内部には、さまざまな教室や講演会が開かれるセミナー・ルームや、毎年恒例のウィーン映画祭が上映される映画館、さらにハンス・クラウスが始めた人形劇場などがある。」
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よく読んだら、「酒場がない」とはハッキリ書いてないので(むむむ)、一縷の望みを託すことにしましょう。(そこまでこだわることもないですが。)
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